この手の案件を受けてはいけない

WizHookの紹介をする投稿で、ちょうどその頃に取引をしていた案件がもともと私にとっての「受けると危険!」とでも言うべき案件の条件に当てはまっていた、という大変イケてないオチをつけてしまいました。

racchie.hatenablog.com

小ネタ(またはネタ切れ)な感じで恐縮ですが、ちょっとこの「受けると危険!」な条件をご紹介してみたいと思います。

開発プラットフォームがあらかじめ指示されている新規開発

例えば、「Excelで開発をお願いしたい」という案件があります。まぁよくある話ですし、ちょっとしたデータの抽出とか管理とかでExcelという選択はBetterだと思います。ただ、仕様要件が曖昧である新規開発案件で、本当にその開発プラットフォームを選んで良いのか、という検討は本当にできているのでしょうか。

意外と多いケースですが、まず開発プラットフォームありきで開発を依頼するケースというのは多いです。Accessの依頼で一番多いのは、「Excelでいままで管理をしてきたのだけれど、管理ができなくなってきた(もちろん理由はExcelだから、ではないのですが)。でも、データが外部に漏れるのは困るのでWeb系ではなく(Webアプリはブラウザで開くものという認識でイントラの外に出てしまうという懸念があるように見せかける。社内用Webアプリサーバを立てればいいことなのだが)、Accessを使って(あたかもAccessがBestのソリューションであるかのような言い方だが、実際にはオフィス用のPC導入時に何故かAccessを買ってあるが使っていないので無駄になっており、使う理由を探していた)作ってほしい」みたいな話。内容を聞けばAccessが向いていないこともあるし(ファイルサーバのないオフィスで複数の人がそのAccessを使うようなケース。ファイルサーバを作る、またはAccessで作ったアプリを入れた端末はそこに誰も座っていなくても電源を入れてファイル共有できるようにしておく、といった「よくない」運用をすることになる)、他にももっと使いやすい余剰資産があるかもしれないわけです*1。そういう検討をされないままにプラットフォームを決める理由は、

  • 目に見えて「無駄」になっているもの(Officeを買うときに必ずAccess付きで買うもののAccessを使える人がいないから何かアプリを作って「無駄になっていない」と言えるようにしたい、というようなケース)
  • 納品先の担当者が「腕に覚えあり」の場合(独学でアプリなんかを作った人。ちなみに元本職の人はできれば自分が関わりたくないしどうせなら勉強ついでに、と「はやりの(または枯れた)技術がいいよね」と言うのが常套手段だろう、と自分の経験から思いますが)

のいずれかのパターンです。

担当者が途中で変更になった案件の継続開発

開発に限らず、と言うか、フリーランスの案件とかいう以前に、会社の担当が入れ替わるというケースはよくあります。特に最近は終身雇用が保証されているわけでもないですし、人の出入りも激しいので、昔のように「ワタシ役付きになったんで後輩に担当を変わってもらうことにしたよ」という意味合いでの担当変更はめったに聞かなくなりました。

コレ、中途入社のときも同じなんですが(これまた自分の経験で恐縮ですが)、「部長候補」として応募のあった会社に入社しようと面談、「部長」が面接官になっていたので一安心、入社が決まり末席に加えてもらった途端、その「部長」が数ヶ月後に退職することが判明。しかも「候補」ではあったが社内の調整は全くできておらず新入りが部長になれるわけもなく、かといって社内リソースで部長になる人もおらず、結局部長退職後に社長が部長を兼務、新入社員で肩書も与えられぬまま余剰社員扱いで配置換え、というケースも結構あります。

何が起こっているか、クライアント企業さんの中のことはわかりませんしあまりわかりたくもないのですが、担当が変わるということはおそらくその担当さんはクライアント企業を辞められると理解してよいと思っています(そのあとのことまでは知りませんが)。急に辞めてしまわれるケースもあるでしょう。その場合、どうしてもコミュニケーションのし直しが発生してしまい、仕事どころではなくなるわけです。しかも大体辞められるタイミングが悪いので、こちらとの関係性も良くないところからスタートしてしまうわけです。今後も継続したいと仰ってくれることは嬉しいのですが、まぁあまり先方の状況もよろしくない可能性も否定できません。

(クラウドソーシング限)「ご覧いただきありがとうございます」的な挨拶で始まる案件

この手のお仕事の発注者は「お里が知れる」のでお声がけをいただいたとしても無視しています。ビジネス文章の基本として、案件募集の場合に挨拶→要件という順番で文章を組み立てる、と思っておられる方が多い、わけではなく、これは「テンプレ」です。印象として、ビジネス的で丁寧である、と思う方が多いのかと考えてしまうのですが、私の感覚では、案件募集の場合は簡潔かつ必要十分な情報量の要件列記のみが記載されている方が「丁寧」です。実際に「テンプレ」系の要件はどうなっているかというと、

数ある依頼の中から当方のページに目を留めてご閲覧をいただき誠にありがとうございます。

当方は◯◯市や◯◯市など数か所の拠点で商品を販売しており、この度Web上にも支店を出すこととなりました。

そのWebの支店はEC-CUBE 4での構築を考えており、デザインについては当方のデザイナーにお願いをしているのですが、

どうしても機能の中で必要な機能が機能としてEC-CUBEに存在しないため、その機能を作成していただけるエンジニアさまを募集します。

■機能の要望について

※以下機能について流麗な文章にて説明

■条件について

※以下条件(報酬額・応募の条件)について箇条書き

■最後に

一度スカイプで面談をさせていただきます。簡単なものですのでご安心ください。面談の結果採用という流れにさせていただきたいと思っております。

とてもやりがいのある仕事で将来性も高い業務となっております。ぜひ皆様のお力をお貸しいただけたらと思います。それでは、どうぞなにとぞよろしくお願いいたします。

「ビジネス文章の作り方」講座にでも通ったんですかね。大切なことは最初と最後に持ってくる、って話、勘違いしてしまってる気がします。仕事の内容として大切なことは、機能の要望と条件面。Skypeの面談についても条件ですよね。面談OKかどうかという条件。これを条件とは別に提示して、しかも最後に持ってきた、ということは、「面談をする」ということがメインである、とも捉えることができるわけです。

それと、「業務の将来性」とかどうでもいいわけです。もちろん業務が成長しているのであればその案件については継続性が見込まれるので、「このクライアントは成長している」と見えがちですが、あくまでも「自称」ですからね。仕事概要をご丁寧に最初に説明していますが、競合の多そうな業界です。いままでやってきた商売をWebでもやりたい、という。

仕事は「選びましょう」

フリーランスの特権だと思っています。仕事を選ぶ、ということができることは。ただし、ある程度の期間ビジネスとして成り立っていれば、の話ですが。

私はどちらかと言うと最初から「選んで」仕事をするようにしていました。まだクラウドソーシングの認知度も低い頃は、クライアントさんがリモートワークに興味があった方たち、または活かし方をわかっていない方たちの両極端な方たちばかりだったので、その中でも自分のやっていきたい仕事を持っていそうな方たちとの接触がしやすかったですし、すごく仕事も多かったです*2。選んでいてはメシが食えない、というのも事実ですが、選ばないことで(来るものは拒まずで)仕事の質を落とすことも最終的に仕事が全くなくなってしまう、ということも起こりうるわけです。

*1:アプライアンスサーバーをレンタル導入しているのにその機能の80%を使っていないという会社に勤めていたことがございます。入社当時に「それ(アプライアンスサーバーの機能)使えばいいじゃん」と上司に進言したところ『無料で使えるコレがあるからコレを導入してくれたまえ』とCD1枚とサーバルームの鍵を渡されたことを忘れません...。

*2:今(2019年前半)の状況は、結構「活かし方をわかっている」クライアントさんが増えた気はします。自分の仕事のスタイルとはちょっと違うので、積極的に仕事を獲りに行こうという感じではありませんが。