「書く」という仕事

「書く」という行為が苦手なので、というかだからこそ、記事を貯めこんで小出しにしているこのスタイルを貫いているのですが*1、定期的にやらなきゃやっぱりダメなんだな*2、と思わせる記事があったのでご紹介をしつつ自分の考えを少しまとめてみたいと思います。

元記事の紹介

英語の記事で恐縮ですが。 dribbble.com

そしてこの記事を書かれた方はデザイナーさんで、私とはかけ離れた世界の方ではありますが、何かを生み出すという点では共通しています。私の考えはあとで述べるとして、少し記事の要約をしておきます。

元記事の主題:「書く」ことがコミュニケーションに役立つ

筆者さんはUI/UXデザイナーであり、Brand Strategist(ブランドの戦略を考える仕事、日本だとブランド企画部門に属する感じでしょうか)であり、デザインをするうえで必要になるコミュニケーションスキルを高めるために「書く」という作業がとても大切である、ということを述べています。 元記事の章見出しをざっくりと訳してみると、

  1. 書くことで考えがまとまる(Writing will influence the way you think)
  2. 書くことで成長できる(Writing will help you grow)
  3. 書くことで無駄を省ける(Writing will clear the clutter)
  4. 書くことでさらにクリエイティブになれる(Writing will help you become even more creative)
  5. 書くことでよいリーダーシップをとれる(Writing will help you become a better leader)

1と3は日本語に直すと少し意味合いが似ていますが、1で言おうとしているのは考えをまとめる能力が付く、ということです。「書く」トレーニングをすることで(ロジカルな)考え方が身につく、ということです。2の「成長」はよくあるスキルアップ云々という話*3、3はロジカルシンキングができるようになるので、書くことで無駄が見えてくるし、最終的には無駄を排除できる、ということでしょう。4についてもまぁそのまま、という感じです。 5について少しだけ。「書く」ことで考えがまとまる、そしてクリアになる、ということを想像すると、何かのプロジェクトを動かす際に進むべき方向は自ずと見えてくるわけです。方向性を全く定めないプロジェクトが悪いわけではないですが*4、考えをまとめて方向性を決めるために「書く」という作業が大切だと言っています。たぶん*5

元記事のおまけ

まぁ上の主題のところもかなりの斜め読みですが、おまけのところも少しだけ解説を。

  • 私は文章を紙に書くということはめったにしませんが、この方は「紙に書け」と言っています。研究でも「書く」ことはアナログ(=紙とペン)で行うほうがより良いとされているらしいです。
  • 「書く」という行為を苦痛だと感じる人も多いです。私もその一人ですが、制限を設けずにとにかく書くことからスタートしろ、と言っています。私もこの意見は賛成です。
  • でもよくわからない(だから書けない)、という人もいると思いますが、まずは書け、だそうです。山本五十六の名言みたいなもんですかね。

記事を読んで思ったこと

私自身も、以前からずっと(今に至ってもなお)苦手意識を持ちつつブログを書くことを続けようとしていて、

どうすれば定期的に記事を書き続けることができるだろうか?*6

と考えていました。その方法の一つとして、書き貯めるという手法は選んでいますが、書き貯めるにしてもどうやって書けばいいのか、という根っこのところにぶち当たった経験はあります。

書くことがない→書くテーマを絞ればいい

SNSもそうですが、とにかく雑多に書くか、テーマに沿ったことを書くか、という極端に振りきるのが書くコツなのかもしれない、と自分では思っています。商売用の記事を書くのであればテーマを決めて書くのが楽でしょう。私がシステム開発マーケティング(+私の仕事領域全般)というテーマでこのブログを書いているのもそうですし、個人のSNSアカウントでは仕事かラーメンか、という日常*7を切り取った感じで雑多に投稿しています。

まとめられない→だから言語化する

私自身が器用な人間ではないので、考えをまとめるためには「言語化」という作業を経ることが多いです。日常の些細な事までわざわざすることはさすがにないですが*8、情報の整理をするときには、簡単なことであれば頭の中で、ちょっと複雑になってきたり情報量が多くなってくるとメモを取り出すことが多いです。

続けること。失敗しても続けること。

例えばブログにしても、仕事のメモ術的なことであっても、『失敗したらどうしよう?』という臆する気持ちで尻込みをして、結局やらない*9、ということを繰り返す人は多いかと思います。

が、ブログで失敗したからどうなるというのでしょう。アフィリエイト収入が稼げないのは記事が悪いからではなく、そもそもそれほど稼げない仕組みだからです。 仕事でメモを取るという行為をすることで失敗する確率よりメモを取らないで失敗する確率の方が高いはずですが、なぜ書かないことを選ぶのでしょうか。

例えばこの、今書いているこの記事が何人の人にリーチするのか、さらにどのようなリアクションを取って、どれだけ拡散していくのか、そんなことを考えていても記事は書けません。まず自分の書きたいことを書く。考えがまとまっていなければ書いてまとめる。まとまった時点で記事を(予約)投稿する。という作業をし、記事が公開されてからしばらくたってこの記事に対するリアクションがどうであったかを見るわけです。後悔は出来事より先には起きませんが、結果も同じく出来事より先にはわかりません。だからやってみるしかないのです。「捕らぬ狸の皮算用」と言いますがそのとおりで、少なくとも個人のブログにおいてスタート時点で収益だのSEOだのKPIだの、といったことを考えられるほどアクセス数は見込めるわけがないわけです(あなたが超有名な個人でない限りは)。だから、やってみて、続けてみて、という泥臭いことをやり続けながらいろんな施策を打ってみるしかないわけです*10

結論:銀の弾丸はここにも存在しなかった

システム屋界隈では問題に対する特効薬がないということをこの言葉(No Silver Bullet)で表現することがありますが、日本のことわざで言うなら、「急がば回れ」とかそんなところでしょうか。紹介した記事の結論見出しも同じような言葉("There is no magic moment":魔法の瞬間なんてない)を使っています。トレーニングを否定するわけではないですが、「学ぶことで収益が得られる」という短絡的な考え方*11をしてはいけないんだなぁ、とつくづく思いました。

最後に駄文

自分の考えをまとめる作業としての文章を書くということは大変ではあります。学校を出て会社勤めをするようになり、「文章を書く」という行為が思っていた以上に多いことに辟易したことを思い出します。今でこそその手の文章を書くことは苦痛ではないですが、好きではない作業の一つです。報告書とか日報とか、今はめったに書くことはないですが*12嫌いです。でも、ビジネスでの報告系の文章の書き方(客観的+時系列で発生したことを淡々と並べる)と、ブログのような日記系の文章の書き方(客観的事象に対する主観を述べる)の違いを考えつつ文章をひたすら作っていくことで自分の考えがまとまっていきます。

*1:でも結局ネタが枯渇したりしばらくサボっていたりするわけですが。

*2:あくまでも定期的に書くというだけで、書き貯めることについて否定しているわけではないですよ。

*3:ロジカルライティングのスキルは大切よね、という一般論です。

*4:最初は暗中模索状態からスタートというプロジェクトでも、走りながら方針を決めていくスピードが速ければ成功するという例はたくさんあるでしょうし私もそんなプロジェクトに参加したことがあります。

*5:というより、そういう議論をするために考えをまとめる必要がお互いにあるんだよね、だから議論ができるんだよね、ということなんですが。

*6:その理由の最初はアフィリエイト収入を得るための方策としての「継続的な記事の提供」でした。ですが、書くことは本業ではないのでどうしても記事を量産することができず、結局アフィリエイト収入に期待することなくただ書くことを今は選んでいます。

*7:食べ歩きは筋トレと並んで趣味です。

*8:ただ、ヨメが良く言えば自由奔放、悪く言うとハチャメチャなので、その場で方針が変わることも多く、たまに混乱することはあります。

*9:そしてその言い訳は決まっていて、「今はその時期じゃないんだよね」、です。

*10:最初からある程度アクセス数が見込めて、マーケティング予算を取ることもできる法人の場合は最初からある程度の施策でドライブをかけることは可能です。

*11:そういうセミナーやサロンは多いですが、「学ぶ」と「稼ぐ」の間にある大切なことは教えてくれなかったりするわけです。

*12:フリーランスが日報など書くわけがない、とお思いでしょうが、クライアントさんによっては定期的な報告を求めてくることもあります。