生産性向上委員会:(アナログ)手帳

不定期にやっとります「生産性向上」のためのちょっとしたヒント集、今回はアナログな、いわゆるシステム手帳についての考察です。

手帳遍歴

そもそもこの10年くらい、手帳というものを持ち歩かない生活をしていました。昔は持っていたんです。しかし、スマホを持つようになった頃から手帳のデジタル化は粛々と進めていて、現在は

という組み合わせで管理をしています。ここに至るまでもデジタルツール/サービスについてはいろいろと試行錯誤をしていたのですが、更にその前の、デジタルツールを使っていなかった頃のアナログ手帳もそこそこ、ですが試行錯誤を繰り返していました。

ざっくりと言うと、

一般的な手帳→超整理手帳フランクリンプランナー超整理手帳→アナログ廃止

という遍歴で、自分でも意外ですが、超整理手帳の利用歴がおそらく一番長いのではないかな、と思います。

「一般的な」手帳時代

単なるメモとしての第1世代

更にスケジュール管理の要素が加わった第2世代

目標管理や能率・効率を追求する第3世代

www.franklinplanner.co.jp

フランクリンプランナーの言を借りれば、いわゆる「第1~第2世代」の手帳です。その辺の本屋さんなどに行けば手に入るヤツ、日能研とか高橋とか、です。

まさに「メモ+スケジューリング」という機能。製本型の手帳が一般的ですが、あれもこれも、と機能を追求しだすとどうしても「システム手帳」という方向に向いてしまい、手帳の沼にハマっていくわけです(笑)。わたしもそうでした。そして、ハマって行くのですが結局使いこなすこともできず*1、いつもなんとなく持っているモノ、みたいになってしまっていました。

ちなみに私自身は、かなり昔からの「PDA(パーソナルデジタルアシスタント)/PIM(Personal Information Manager)」ユーザでもあったので、スケジュールや住所録をPDA/PIMに転記する作業も結構やっていました。今でもふとスマホでスケジュール確認をしていると思い出します。

「超・整理手帳」との出会い

きっかけが何だったかはいまだに思い出せないのですが、おそらく当時まだ黎明期だったインターネットか、雑誌かなんかだと思います。会社勤めを始めた頃(1998年頃?)ですが、学生だった頃に比べて管理すべきスケジュールの量が突然増えたわけです。当時の仕事は印刷屋の営業でしたので、複数のところから現行の入稿や校正戻し、出稿があるので、情報が輻輳するわけです。既存の手帳では管理しきれないなぁ、と感じていたところに「超・整理手帳」の存在を知り、早速書店に買いに行きました。まだそれほど知名度も高くなく、都内を随分探した記憶があります。

メリットはやはりスケジュールの一覧性に尽きます。普通の手帳でも、月間予定表であれば1か月の予定が俯瞰できるのですが、予定が増えれば増えるほど見にくくなりますし、単発スケジュールではなく、長期的なプロジェクト、印刷屋で言えば原稿の入稿から出稿までのスケジュールを複数管理しつつ、新規顧客を探すための営業活動もしなくてはならない、となると、月間予定表ではスケジュールが細かくてわかりにくく、週間予定表では全体が見えない、そして、月間+週間予定の「併記(または転記)」は手間がかかることと記載漏れのリスクがある事、これを一気に解消してくれます。

ちなみにフランクリンプランナー的に言うと「超・整理手帳」は2.5世代くらい。効率の追求という点では第3世代に近いですが、目標設定は(単体では)行えないので第3世代とまでは言えない、というところでしょうか。

フランクリン・プランナー

社会人を長く続けていると、超整理手帳ではできない「目標設定」、というか、いわゆるタスクの優先度の管理を行いたい、という要求が出てくるようになりました。最初はただ与えられたタスクをこなすだけでしたが、肩書が増えたり役付きになったりと、部下を持つようになればそれだけ管理すべきことが増えてきます。

最初はタスク優先度の設定についてどうすべきか、ということを調べているうちにフランクリン・プランナー(と、バックグラウンドの考え方である「7つの習慣」)でも採用している「時間管理のマトリックス」にたどり着き、その管理手法をもう少し突き詰めていきたい、とフランクリン・プランナーに移行した、という経緯だったと記憶しています。

ただ、実際に時間管理のマトリックスに沿ってタスクの優先度をつけたとしても、結局は自分の思った通りの優先度で物事が動いてくれませんでした。自分にとって、緊急度と優先度という2軸があるのだ、という理解があっても、それはあくまでも自分にとってのことでしかなく、全体として優先度が高く、さらに緊急度も高いものは往々にして多数あり、しかもそれぞれの人にとっても優先度の軸があるのだから、結局ほとんどの日常のタスクが最優先されて、『自分にとって一番大事な、緊急性は低いけれども優先度が高い』タスクをこなすことはできませんでした。

フランクリンプランナーのベースの考え方である、「7つの習慣」は、フランクリンプランナー導入時に買って一読をしましたが、流し読みレベルで理解を深めないまま、5~6年くらい使っていたでしょうか。

7つの習慣」を読んでフランクリンプランナーから離れる

ある日、仕事もうまくいかず、ずっと気分もふさぎ込んでいた時、ふと助けを求めるがごとく、それまで流し読みで済ませてきた「7つの習慣」を手に取り、内容をきちんと理解しようと熟読しました*2。そこで、「時間管理のマトリックス」の考え方にはさらにベースになる考え方がある、ということに気づきました*3

それをもとにフランクリンプランナーの、目標設定シートの記入であったり日々のスケジューリングであったりを実行するようになると、段々と使い方を理解するようになってきます。ただ、その一方、「タスク」の数が圧倒的に多く、もっと言えば、なぜこんなことまで自分でやらなければいけないんだ、ということに気づくことになります。自分が望んでやっていること、ではあるのですが、なぜこれを自分でしなくてはならないかを理解できていないまま、やれ、と言われたか、自分からやると言ったか、なぜかタスクとして積まれているものが多数あったわけです。タスクをこなすのに1日あっても足りないし、後回しにしたところでそのタスクがいつになっても積み残されたまま終わらない、という事態が起こっていました。

ここで出会ったのが、「GTD(Getting Things Done)」の概念です。人によってはフランクリンプランナー(7つの習慣)とGTDは相性が悪いとか、相反する概念だ、とか言いますが、私の考えは「割と似たところがある概念」で、特に、タスクの俯瞰という点と、タスクを1つの塊としてとらえているところ、フランクリンプランナーで言うところのタスク=石と、GTDにおけるタスクの概念、最終的に分解できないレベルがタスクである(大きなタスクは細分化させて実行可能なタスクとして落とし込む)という点は似通っています。

GTDのもう一つの要点として、「Decluttering」、片付けるとか整理するとか、そういう意味ですが、タスクをとにかくすべて片付けてしまうという考え方、タスクが最初に入ってくる「Inbox」を毎日きれいに片付けてしまうことが挙げられますが、この処理を実行していくなかで、他者への移譲を行う(Defer)という作業が発生します。移譲する人がいなければしなくてもいいのですが、実際にはタスクの数が多すぎて誰かに頼まなければ終わらないという状況になっていました。そこで、フランクリンプランナー/7つの習慣で言うところの「役割」のうち、自分でなくてもできる役割については他者への移譲を進めよう、と考えるようになりました。

そうするとタスク自体は少し減りますし(移譲をすると必ず移譲した先の管理が必要になる)、管理自体も必ずしもフランクリンプランナーでなくてもよくなってきます。さらに、GTD的管理手法を実践するためにフランクリンプランナーのリフィルだけでは使えないというケースも出てきました。そこで、超整理手帳の仕組みを思い出したわけです。ただスケジュールが長く伸びているスケジュール帳、というわけではなく、A4用紙を1~2度折りたたんで持ち運びができるという「モジュール型」の仕組みは、GTD的管理手法とフランクリンプランナー的管理手法をハイブリッドで行うためには手っ取り早いツールでした。

そしてデジタルへ

そして今に至る、というところですが、実際には(戦術の通り)アナログ手帳を使っていたころからスケジュール管理に関してはGoogleカレンダーを併用していました。本格的に利用するようになったのは、スマホを持ち始めたころなので2000年代の後半とかでしょうか。PIMの再来だ、と思いながら。

ただ、スケジュールやタスクの管理については、今でこそ十分すぎる機能がGoogleカレンダーにあるのでそれだけでいいのですが、当時はまだ機能が満足できるものではなかったり、そもそも実装されていなかったりとかで、フランクリンプランナー的アプリやタスク管理アプリをGTD風に使えるようにカスタマイズしたりして使っていました。そして、いつの間にか手帳というモノを持ち歩かなくなったのですが...。

ある日のこと、会社の上司から「お前なんでメモ取らないの」と怒られました。顧客打ち合わせで開発の担当になっている私とともに上司が同席したわけですが、打ち合わせの内容=要件についてきちんと聞き取りをし、それをメモに残したのか?という意図で怒られたわけです。もっとも、当時はきちんと内容を記憶していましたし、それを顧客に議事録として送って認識のずれがあればそこで調整すればいい、と思っていましたが、さすがにメモをするものがないと格好がつかないので、最初は100均のノートを使っていたのですが、ノートの在庫がなくなったので買いに行った先で、GTDを実践していたころに使おうとしていた「インデックスカード」が目に入ってきました。そう。その当時は使いこなせていませんでしたが、HipsterPDAを使えばメモも取れるしタスクの整理も楽になるし、荷物も減る!

これが今にいたる基本となるスケジュールとタスク管理です。そこに、開発業務に関してはプロジェクト単位でタスクの管理を行えるように、GTD風カスタマイズを加えたTrelloを使ったり、業務委託のプロジェクトであればクライアント指定のツールを使ったり、果ては提案して構築したりなど。TimeTreeについては、ヨメとの共有カレンダーとして使っています。一時期はGoogleカレンダーでの共有をしていたのですが、ヨメにとってGoogleカレンダーは使いにくいらしく*4、私としてもヨメと共有すべき情報とそうでない情報を切り分けて、スケジュールベースとなっているGoogleカレンダーから適宜必要な情報をTimeTreeに転記する*5

タスクに関しては、抜け漏れがなければ複数の管理先で重複しても構わない、というのはGTD的な考え方のような気がします(本来は1か所での管理が望ましいのですが)。そのため、抜け漏れのないように、開発プロジェクトで使うタスク管理ツールについてタスクのMECE(抜け漏れ+重複)チェックは行っています。

最近起こった問題と対処方法

ほぼデジタルな環境でのスケジュールやタスク管理をしていましたが、最近(2020年)になって、ちょっとした壁にぶつかりました。複数の「プロジェクト」が並行していくつか進むようになりました。仕事だけではなく、「プライベートプロジェクト(いわゆる私個人、または家族などのイベント)」も同時に走っているため、スケジュールの俯瞰が必要になってきました。

Googleカレンダー自体は月単位のカレンダー表示が可能になりますし、プロジェクト単位でざっとスケジュールの枠を作っておけば見やすくはなるのですが、数が多くなると「その他〇件」みたいな表示になってしまい、どこかで見えにくくなってしまいます。カレンダーの一覧性が高い方法は...、と考えると、結局「超整理手帳」の出番、ということになりました。

2021年版を先日購入しました。久しぶりに見ますが、使い慣れたこのビュー。いいですね。

[syame]

超整理手帳と、月間カレンダーを使って、月間カレンダーには大きなプロジェクト(大きな石)を書いておき、それぞれのスケジュールをどう組んでいくかについてこれから検討をしていき、ざっくりとしたプロジェクトスケジュールは月間カレンダーと超整理手帳に書き込んで、細かいタスクについては引き続きGoogleカレンダー(もしくはTimeTree)やタスク管理ツールに書き込む、という感じでスケジュールの調整を進めていく感じです。

さてさて忙しい...。

*1:というよりは、「スケジュール」を書き込むことが目的になりがちになるので、結局まともな「スケジューリング」ができるわけではない、と言った方がいいのかもしれません。

*2:それ以来私の座右の書になりました。

*3:そもそも「7つの習慣」における要諦は『原理原則を主軸に考える』ことだと今の私自身は理解をしていて、例えば自分自身にとって大切なことだからと言って他人にとってはそれは大切でも何でもない、という事実、同じ会社に勤めていれば、私にとっても他人にとっても、会社の命はどちらにとっても優先度が高くなりがちだということ、だから会社に振り回されるのもおかしいし、かといって自分勝手になるのも会社に所属している限りはおかしい、会社から金をもらって仕事をしているのであれば、その会社のことが会社にいる限りは優先度が高いよね、というのは原理原則だし、会社勤めができているのも家族のおかげ、となれば会社にいないときは家族のことを考えるというのも原理原則。自分自身の『役割』という言葉で説明をしていましたが、複数の役割を持つ自分、という軸で考えているのが7つの習慣の要諦かな、と。

*4:デザインもかわいくないですしね。

*5:実運用としては逆で、ヨメとの共有が必要なものと判断がその場でできれば先にTimeTreeに情報を入力、あとでGoogleカレンダーに転記しています。Googleカレンダー→TimeTreeというケースもあって、スケジュールの見直しや俯瞰をしているタイミングで「あ、これは共有必要だな」と思った時に転記する、という運用です。例えば平日に銀行に支払いに出かける、というスケジュールタスクはヨメには関係ないので共有はしていません。