「デザインは専門外です」、といつもお客様には言うようにしている。図工美術は小中学校の時も赤点ギリギリだったから。
社会人になってITエンジニアとしてアプリデザインを作っても、とにかく貶されまくり、「もうお前センスないからデザインするの止めろ」と、結局バックエンドの開発が主になるようになった。
今はフリーランスで仕事をしているし、マーケティングもかじっているので販促的デザインは考えられるのだけれど、実際に手を動かすととにかくダサくなる。
そんな私が本気でデザインをした時のお話。笑い話でございますよ、えぇ…。
基本はミニマル+機能的
ダメダメだから諦めるということはフリーランスになってからはさすがにできず、できるだけ「勉強」はしてきた。折に触れて「デザイン」に触れてきたし、マーケティングの観点からの「デザイン(≒UX)」も学んだ。
ただ、デザインを知れば知るほど、「好み」という問題にぶつかってしまうことに気付いた。
元々の志向はミニマル方向にあって、最低限の機能と最低限の情報があればいい、と今でも思っている。
ITエンジニアがフロントエンドを作るとダサくなりがちなのは実はこのミニマリズムにあって、とかく不必要なスペースを減らしたり、機能的と自分自身が感じる配置を「機能美」と考えがちなのだ、と思っている。
もちろん不要なモノをそぎ落とすことで出来る機能美は存在する。ホームボタンがあった頃のiPhoneは顕著な例だろう*1。
当時の他社スマホ(Android・Blackberry・Palmなど)がゴテゴテとしたボタンを前面にたくさんつける中で、たった一つのボタンを押すだけでホーム画面に戻れるというのはある意味画期的だった*2。
ボタンの位置もよく考えられていた。サイドでもなく、上下でもなく、裏面でもなく、スマホを持った時に親指がちょうど近くにある、またはそうさせたくなる場所だしサイズ感だ。
iPhoneの話をし続けると信者に怒られそうなのでこの程度で留めておくが、(IT)エンジニア*3は、とにかく機能があればその機能をワンクリックで使えるようにしたい、と考え、ひたすらボタンを増やすのだ。
機能的だとは思うが、ゴチャゴチャし過ぎる。
だから減らすのは余白ではなくボタンなのだ、と言い聞かせてデザインをするようにしている*4。
デザイナーさんと仕事をすると思うこと
でも、自分ひとりでできるデザインには「限界がある」。と言うか、どうやってもダサくなる。
だからデザイナーさんとの協業が必須、と言うくらい仕事上ではデザイナーさんとのお付き合いがあるわけだが、実際にデザインを見ていて参考になることは多い。
色使いや配置のバランス、余白の使い方に至るまで、上がってくるデザインを見ると驚きと発見の連続である。
ただ、私(コーダー/マーケター)の目線で見たときにどうしても許せない点があったりするので、微調整だったり修正をお願いしたりすることもよくある。
コーダーとしての目線
デザインをコードに落とし込むという点で、実装に無理があることがたまに発生する。ただ、個人的には「できないことはない」とも思っていて、全体のルールを逸脱させてでも実現させる方向に進めることが多い。
よくあるのは「透過」系のデザインなのだが、ページのルールとして画像をjpgに統一している場合、透過効果を諦めるか、背景と一体化させるか、という選択を取ることになる。
しかし、デザイン上どうしてもそうせざるを得ない場合、例えばリンク付きボタンを画像で表現させる場合はpngで透過させるようルールを曲げることもある。
ただ、ディレクションがきちんとできていれば*5あまりコーディング面での問題は発生しない。
むしろ、デザインカンプを手にして「どうやって実装しようか」というチャレンジをするのが面白い。フロントエンドコーディングは個人的には好きではない*6が、カンプを完全再現させることに、そしてそれを制限時間内(≒期限内)に完成させることに対してはコーダー/プログラマとしてやりがいもあるし面白い。
マーケターとしての目線
ある程度デザイナーさんがマーケティングの知見を持っている場合は大丈夫だが、それでも考慮漏れと言うか抜けている部分があったりする。
デザインにおけるA/Bテストとかの話はいずれ書いてみたいテーマだが、私自身がデザインをして、これでOK、と思っていても(ダサさ以外の部分で)抜けることもあるので、ある意味デザインのダブルチェックみたいなモノだと思っている。
カンプを見て不要なモノを削る、と言うよりは、不足しているモノをデザイナーさんに提案して追加してもらうほうが多い。
そういう意味ではデザイナーさんに必ずしも「マーケティング」知識はなくていい、と言うか、デジタルマーケティングに特化した知識よりは広範なマーケティング知見のほうが持っていてもらいたいとは思う。
自分で「デザイン」をして思うこと
逆に自分で「デザイン(の真似事)」をすると、前述の通り自分の好みの作り方をしてしまいがちである。
デザイナーさんと同じような視点、またはお客様の希望に沿うやり方、と言う観点が足りていないなぁ、と反省をしながら作っている。
ただ、ミニマルなデザインと言うところはそれなりに褒めてもらえたりすることがあって、今まで地味に学んで(そしてアウトプットをして)きたことは活きているんだな、と感じている。
でも、できれば苦手なのでやりたくないよね、そしてたまに気分転換でデザインやるのもアリだよね、とかわがままを言ったりしている。
デザインで大切なこと
あくまでもマーケターとしての観点ではあるが*7、デザインには「目的」があることと、その目的を理解してもらわなければいけない、と言うこと。
Webアプリデザインに限って言えば、目的は「見てもらう」ではなく、Webアプリを見たことで何らかの行動を想起させることになるはずだ。
ECサイトを例にとれば、「見てもらう」だけではサイトを開設した意味はない。買ってもらわなければ意味がないわけだ。買ってもらうことが目的だから。
ただ、極論を言えば、ECサイトを普通に作れば(≒凝ったデザインを作らなくてもテンプレそのままで)買ってもらえる仕組みはできているはずだ。そしてそれだけでは「見た目がよくない」からと、デザインをゴテゴテと付け加えると途端に買いにくくなる。
そう考えると、目的を見失わないようなデザインをすることが大切なのよね、と思う。
まとめの言葉としては少しダサい気もするが、デザインがダサい私なのでご容赦をいただきたい。