スマート活動計を買った(その1:購入後のインプレッション)

あまりガジェット紹介をしたくないのですが*1、面白いものを衝動買いしたので軽くレポートをしておきます。

※ ふと「これってスマートウォッチという言葉を使うより『活動計』という日本語があるなぁ」と思ったのでタイトル「スマートウォッチを買った」から「スマート活動計を買った」としました。投稿の中身まで逐一変えるのは面倒くさいので「スマートウォッチ」の記載のままです。まぁ似たようなもんですからね。

購入日のインプレッション

ちなみに、購入したのはこれです。買ったのはドンキですが。

item.rakuten.co.jp

ここからしばらくの内容はは購入日の夜に、充電を終えて腕にスマートウォッチを装着して寝ながらメモをした内容です。

「スマートウォッチ」と言うけれど

ライフログと言うか、医療介護系の業界で言うところの「バイタル(サイン)」を取得する機器、と捉えた方がよさそうです。

スマホアプリの通知機能は

あるらしいけど期待もしないしむしろ無い方が楽というか。以前Android Wear時代のスマートウォッチを持っていましたが、通知があるたびにスマートウォッチにも通知されるのはやっぱりウザいです、正直。

補足

以前持っていたのはMoto360 1st gen.でした。持っていた、というか今も手元にはありますが、使っていません。電池の持ちは6〜8時間くらいだったし、内蔵された充電電池も膨らみ始め*2、OSも2016年の時点で「Android Wear」の2.0にアップデートされないとされ*3、何より現在使っているスマホiPhoneなのでいろんな意味で「使えない」です。ただ、「スマートウォッチ」というものがどういうものであり、更に突っ込んでどういうものであってほしいのか、という考えを持つことはできました*4

心拍数・血圧の計測

アプリ*5経由だけでなく、本体だけでも心拍数と血圧が計測可能です。ちなみに血圧に関しては私自身管理が必要なのでこれは大変有用です。脳梗塞で倒れてますからね。もう1年かぁ。

racchie.hatenablog.com

それから、心拍数の計測はできますが心電図は取れません。取れるタイプのものもあるようですが少なくとも私のは取れないです。今のところ心電図のモニタリングは必要ないのでまぁいいでしょう*6

睡眠トラッキング

入眠・起床時間と眠りの深さを計測できるそうです。Android Wearの時にはさらに突っ込んで「目覚めやすいタイミング*7」で起こしてくれる機能もあり、一時期使っていましたが、とんでもなく早く起こされることがあって*8逆に睡眠不足気味になってしまいました。

SDK(アプリの開発キット)

ちょっと毛色を変えた視点ですが(というかこのブログが開発ネタを集めているのでここに触れないわけにはいきません)、アプリなのかスマートウォッチ側なのかはわからないが開発キットらしきものは探したらありました。ただしiOS/Androidどちらもネイティブのライブラリという形での提供なので、各々のネイティブ言語での開発が必要になります。おそらくSwift/Kotlinでいけるはず。Flutterの場合はライブラリを作らないとなのでちょっと難易度が高いかなぁ*9

メモを清書しての所感*10

スマートウォッチを買い、アプリをスマホにダウンロードし、アプリ内からペアリングする、という手間だけである程度使えるようになりました。マニュアルには軽く目を通す必要がありますが、基本的には直感的に使えますし、若干アプリの日本語には違和感を覚えますがよくある話なので気にしません。バイタルのログも取れています。素晴らしいです。ここまでで買って失敗したなぁ、と思うところはないです。

購入後1週間使ってみてのインプレッション

購入して「ほぼ1週間」。翌週木曜日に書いています。

電池の「持ち」について

まず大前提。マニュアルには電池の持ち時間の記載はありませんが、類似の端末の説明では「3〜6日」とあります。もちろん使い方によって持ちがよくなったりするのでしょうが。

実際にはどうかと言うと、おおよそ2日というところ。ちなみに私は、心拍数と血圧は定期的に(心拍数が30分間隔/血圧が10分間隔:この間隔を変えられればいいんですが)計測していて、更にはアラート系の機能はほぼONにしています。具体的に列記すると、

  • 座りがち設定:120分以上
  • 心拍数警報
  • 「腕を回す」アラーム
  • スイッチ設定:

    • 装着モニタリング:ON
    • HR(ハートレート/心拍数)モニタリング:ON
    • BP(Blood Pressure/血圧)モニタリング:ON
    • 携帯を検索:ON

そして、「装着モニタリング」をしているからか、腕から外すことにより何らかのアラートが発生しているようで、それが電池の消費につながっているような気もしないでもありません。もうちょっとこの辺は観察が必要ですが。

電池の持ちに関しては、最低でも1日(24時間程度)でないと、睡眠系のログ取りができないので*11、まる1日持たない「スマートウォッチ」では意味がないわけです。しかもこの端末の充電は90分。2日に1度、風呂に入るタイミングで外して充電すればいいわけですから*12、十分実用的ではないかな、と思います。

「通知機能」について

まず私見を述べておきますが、スマートウォッチがスマホアプリの通知機能の補完をしてくれる、というところだけで言うと便利ですが、基本的にはあってもなくてもいい、むしろ無いほうが幸せかも、とは思っています。逐一腕がブルブル震えられたら夜寝ることもできません*13。事実、この1週間に1度だけですが入眠直前に通知が入り、目が覚めたことがあります。 さて、通知機能については、アプリでコントロールをするようですが、アプリ自体が他のアプリをコントロールしているわけではなく、挙動としてはスマホの通知機能をフックしているように見えます。そもそも通知できるアプリはある程度固定されていて、更に言うと、普段目にしないアプリも多いです*14。 ただ、アラートを出すアプリの選択画面で「他」という謎のスイッチがあり、これを使うとどうなるのか、怖くてスイッチを入れられないでいます。

通知の「精度」ですが、結局通知しているアプリ(例えばLINEとかSMSとか)をコントロールしているわけではなく、上述の通りスマホの通知機能のフックなので、スマホ側で通知が来ればスマートウォッチも通知がされる、ということのようなので、普段スマホを尻ポケットに入れている私にとっては腕でブルっているからスマホを見よう、とはならず、あまり意味がないかな、とは思っています。この機能でOFFにするものが増えれば多少電池の持ちも変わってくるかもしれません。購入後に設定した通知アラートはこんな感じでした。

アプリ 導入有無 通知設定 備考
着信 - ON
SMS - ON
Wechat OFF
QQ OFF
Facebook ON
Twitter ON
LinkedIn ON
WhatsApp OFF
LINE ON
Instagram OFF 普段から通知が来ないのでどちらにしても影響がない
Snapchat OFF
Skype OFF インストールはしてあるが使っていない
Gmail OFF 業務委託用のメールアプリとして使っているのでスマートウォッチで見る必要がないと判断
- OFF 「他」ってなに???全部の通知が来ると思うととても怖くて使えない...。

半分くらい(主にSNS系)は必要ないですよね。着信・SMS(ショートメッセージサービス)、LINEくらいでしょうか。LINEにしても、企業アカウントのメッセージ着信も出てしまうので本当はユーザーやグループで通知をカスタマイズしたいんですが...*15

「防水仕様」について

一応購入時には、この端末の防塵防水性能は「IP67」である、ということを確認して購入したのですが、マニュアルを見ると「生活防水」である、という記述がありました。こういう時は「下位互換」が基本なので*16生活防水レベルである、と判断をして、「基本的に水との接触はNG」という脳内仕様で使っています。 さて、防塵防水の基準でよく使われる「IPなんちゃら」とは何のことなのか、ですが、まずWikipediaに聞いてみるとこういう答えが帰ってきます。

ja.wikipedia.org

等級が「IP67」ということは、防塵性能は「耐塵型(粉塵の内部侵入が発生しない密閉度)」、防水性能が「耐浸型(水中に沈めても大丈夫な密閉度)」となるはずですが、IPによる保護等級とは別に、スマートウォッチを「腕時計」として見たときの防水性能である「生活防水」という基準については、このサイトを見るとわかるかと思います。

www.jcwa.or.jp

ぶっちゃけて言うなら、「(日常)生活防水」はIP(X)で言うところの防水等級4相当、と考えてよいわけです。ちなみに、Wikipediaのページ(上記リンク)にも記載があるとおり、

水に対する保護等級の一部では、単純に検査項目間の上位・下位が区別できないため、複数の項目に合格しているという意味で「IPX5/IPX8」のように表示される場合がある。

数字が大きければ下位等級の性能をクリアしている、というわけではないので、IPX7(水中に沈めても大丈夫)であるからIPX4(水滴飛沫が飛んできても大丈夫)とは限りません。 もっとも、スマートウォッチに限らず電子機器全般において、センサーであったり充電端子であったりが外部に露出している状態であったり端末の機能上の都合で開口部が存在している場合(例えばiPhoneのLightning端子やスピーカー、スイッチ類)は、そこからの浸水の可能性を否定できないわけで、防水性能がどうであれあまり水に触れさせないほうがいいよね、とは思うのですが。私も、風呂に入るときには*17外すようにしていますが、コメを研ぐときや皿洗いをするとき(いわゆる水仕事をする場合)には多少気をつけながらではありますが装着したままで使っています。

バイタルログについて

一般的な話として

心拍数と血圧の値は取れています。値についても正しい値を計測している、と考えられます。 ちなみにそれぞれの値をどうやって計測しているのか、ですが、 * 心拍数は「光電脈波法(PPG)」で計測 * 血圧はPPGと「心電図(ECG)」の計測値から判断 ということらしいです。ここで問題なのは、この計測機器で計測し表示している「値」は果たして正しいのか、ということなのですが、まずこの計測器(スマートウォッチ)が医療機器ではないことを考えると*18、「正確ではない」と捉えて問題はないと思います。ただ、実際に心拍数と血圧を同条件で計測するとほぼ同一の値が表示されますので、信憑性という点では問題がないとは思います。歯切れが悪い言い方ですが...*19

データの蓄積について

アプリ(H band)を使うときに、ログインをするように促されます。アカウントを作ってログインをしています。そうしないとアプリ自体が使えないからです。 では、このアプリ(と言うかスマートウォッチから送られてきたバイタルログ)はどこに保存されているのでしょうか。iPhoneの場合ですが、アプリの中にはRDB(SQLite)のファイルがあるので、まずは日毎に取得しているデータはSQLiteに保管をしているはずです。更新タイムスタンプもファイルをチェックするだいたい30〜1時間程度前の日付になっているので逐一蓄積をしているのでしょう。問題はこのあとで、蓄積したデータはどの程度古いデータを持っているのか。持っているならいつからか、どこにあるのか、といったあたりを調べてみると、どうやら全部データがSQLiteのデータとして保存されてるっぽいです。つまり、「謎のクラウド」みたいなところには保存されていない、ということです。ログインさせている理由が何なのか(いかにもクラウドにデータを保管している体に見えるのですが、そうではないので)わからないのですが、少なくともデータは端末内にありました。ではもしスマホ端末を複数使っていたらどうなるのでしょうね。同じ結果が表示されるとなると、このSQLiteファイルそのものをどこかクラウドに展開しているということにもなりそうです...、が、そこまでやるか俺、という感じです。 もう一つ、このアプリで取得した情報はAppleGoogleのバイタルデータ(Appleヘルスケア/Google Fit)には展開されていないっぽいです。少なくともAppleヘルスケアには反映されていません。アプリをインストールして利用を開始した時点でもしヘルスケアとの同期が発生するのであればその旨がメッセージとして出ているはずなので(データの利用可否についてのメッセージ)、出ていないということは&実際にヘルスケアアプリを起動して確認した結果、リンクはしていない、と結論づけました。多分ですが、アプリ自体はネットの接続が不要なスタンドアロンタイプではないかな、と推測します。見た感じは今どきっぽいですが、スマホ⇔スマートウォッチの連携をBluetoothで行っているだけなので、それ以外の通信を切った状態でもログを取り続けてアップロードはしていないんじゃないですかねぇ。

蓄積されたデータの内容について

正確であるかどうか、というよりも、継続して取り続けることができるか、ということを主眼において*20言うと、心拍数は30分、血圧は10分間隔でそれぞれ計測をしていますし、更に心拍数の急激な上昇にも(しきい値を設ける必要がありますが)対応をしているので、循環器系についての異常検知用としてはとても便利である、と考えています。医療関係者の意見も聞いてみたいところですが...。

「女性データ」について

私は女性ではないのでこの項目についてはよくわからないのですが*21、マニュアルによれば、「安全期」、「生理期」、「排卵日」、「排卵期」を「記録」できます、とあります。多分生理の開始/終了の記録をすることで周期がわかり、一般的な周期に当てはめて「この時期が○○期」とか表示されるのでしょうか。

総評(1週間使い続けた結果)

1週間使い続けて、1度だけ充電のタイミングを誤ってログが取れない時間帯が長く続きましたが*22、それ以外は装着時に必ずログが取れているという状況をつくることができています。これが5,000円くらいで手に入れられると考えるとすごいなぁ、と思います。多分、端末そのもののデザインとか、防水機能とか、*23そんな要素で値段が変わってくるのでしょう。最悪、すごく安いヤツを買っても(粗悪品でない限り:中のチップが同じメーカーのものであるなら)最低限「ロガー」としての機能を満たすのであれば私は満足です。今後、何らかの理由で(壊れた・使えなくなったなどの理由)このアプリを使うことのできる他の端末に乗り換えたとしてもログ自体はずっと残ることになるので今後はこのタイプのスマートウォッチを使おうと思っています。 唯一欲を言うならApple/Googleのバイタルログ蓄積システムにデータを渡してアプリのスリム化を図りたいところです。多分、SDKは端末同士のデータやり取りを行う箇所だと考えられますので(ファイルの名前から推測:BLEとか藍牙みたいな中国語とか、間違いないですよね。接続してデータのやり取りをするロジックだろうと思うんですが)、なんなら自分でアプリを作ってしまえば好みのデータ蓄積方法や通知のカスタマイズなども可能なのだろうとは思います。

最後に

今回はあくまでも「買った」「使ってみた」のレビューではあるのですが、今後は暇を見てこのスマートウォッチの「仕組み」部分について深堀りをしていきたいと思います。多分目標はアプリだな(笑)。

*1:アフィリエイトプログラムに登録していないブログなので、ガジェットの紹介をしたところで儲けが出るわけでもなく、紹介の仕方も他のアフィリエイターさんたちのほうがよほど上手でしょうし。

*2:それにより液晶が壊れはじめて、液晶パネルの交換を自分で行って更に調子が悪くなったので使わなくなったのが実は一番大きな使わなくなった理由かもしれません。

*3:記事を書いている時点でのWearOS(旧:Android Wear)のバージョンは2.0。Android Wear 2.0→WearOS1.0→WearOS2.0と名称変更してアップデートが進んでいますが。

*4:スマートウォッチに対する希望はまた別の機会に書くことにします。

*5:いろんなブランド名で販売されているがどうも元は同じ機器らしく、アプリは共通の様子。ヨメが別経路で同じようなスマートウォッチを購入したのであとでリサーチしてみます。

*6:ヨメは心電図のほうがモニタリングしたい数値らしいのでそれに対応しているものを買ったのだろうか...。

*7:Moto360付属機能ではなく、外部アプリで機能の実現をしていました。ちなみにMoto360の電池の持ちが6〜9時間で、睡眠が8時間程度ですので寝る前にフル充電して起きてすぐにまた充電しなくてはならないという、若干不毛な使い方でした。

*8:アプリの機能で、「レム睡眠中」かつ「起きそうなタイミング」かつ「起床時間設定の最大1時間半前(睡眠のサイクルが90分であることが根拠)」に起こされるため、ちょっとトイレに行こうかな、というタイミングは必ず叩き起こされます。

*9:調べてみたらFlutterのライブラリはそれぞれネイティブのコードをコンパイルしてそれを呼び出すというやり方らしいので、結局ネイティブ開発をしなくてはいけないんじゃん、というオチでした。

*10:ちなみに購入3日目にここまでの記事を清書しています。

*11:特に私自身は現在睡眠時無呼吸症候群不眠症などで悩んでいるわけでもないですが、以前不眠症気味だったこともあるので、できれば睡眠ログは取りたいな、と思っています。

*12:スリードしそうですが、風呂には毎日入っていますよ。

*13:おそらく、通知機能を便利だと思う人たちは、通知自体が1時間に1度あるかどうか(だからそれほど煩雑だと思わない)、そして夜スマートウォッチを装着していない(だから睡眠を邪魔されない)、という条件を満たしているのではないかと。

*14:具体的に言えば、中国で一般的なアプリが数多く並んでいて、更に中国以外の国でもメジャーなアプリがいくつかある、という感じです。

*15:LINEアプリ側でそんな設定できないのですかね。できそうなのに。

*16:どっちなの?という議論をするよりは下位レベルの条件に合わせて考えるほうが楽ですよ。

*17:しつこいようですが毎日風呂に入っています。

*18:最新のApple Watchの機能の中に、心電図の計測・表示機能があるのですが、この機能が日本で販売されているものでは使えなくなっている、という問題も、Apple Watchが医療機器としての認可を受けていないため、と言われています。承認を得なければ使えないということが悪いことだとは思いませんが、スマートウォッチの普及が進むのであれば、薬事法の規定の見直しもあってよいだろうし、または審査の簡略化が行われるようになってもいい、とは思います。

*19:余談ですが、医療機器分類については、 こういう分類になっているようです。参考までに。

*20:バイタルの変化を追いかけることができることを主目的としています。言い方は悪いですが、正確な数値ではないけれどそれが一定の値名だとすれば、通常一定の範囲値内に収まるはずなので正確な値との誤差を考慮してログを眺めることができ、それがバイタルの変化を見つけることにつながる、と考えています。

*21:アプリの起動時に「男性」とチェックをしたので当然女性向け機能はアクティベートされませんでした。もっとも、利用期間1週間でこの機能について語れるわけがないでしょうよ...。

*22:就寝前に電池切れに気がついたため、睡眠時に充電をせざるを得なくなりました。2日おき・風呂に入るタイミングでの充電、と覚えておきます。

*23:もしかすると「ブランドとか」。