ChromeOS Flexを試す...、いや、使い倒す

結局、Chromebookの購入は諦め、少し古めのマシンをChromebook化するという方法を採用したのだが、セットアップに試行錯誤し、悪戦苦闘しつつ運用が開始できたので、セットアップの手順と実際の利用について少しメモを取っておく。

セットアップ

セットアップまでの顛末はコチラを参照のこと。一部Flexではなく純正ChromeOSを試してみた内容もあるが、セキュリティリスクを抱えるのは好ましくないことと、俺の使い方ではChromeOSでもFlexでも大して変わらないことに気付いたので、Flexで運用を進めることにした*1

悪戦苦闘した理由

ネットでChromebookを開発に使うための情報を諸々探していたのだが、ぶっちゃけていうと「情報が古い」。

(PCの)セットアップというイベントは、通常の生活をしているとPC1台あたり1回しか行われないので、その時の最新の情報でできるならそれでいいのだが、調べるときに断片的に調べてしまうとどうしても古い情報が混在してしまう。

具体的には、LinuxIMEに関連したことなのだが、LinuxといえばmozcというIMEを導入する、という認識があり、実際にLinuxアプリで日本語を使うためには導入することが多いのだが、現時点(2025年3月時点)ではChromebook(Flex含む)でのLinuxにmozcやIME切り替えのfctixの導入は不要である。導入していても動作はするが、個人的にはなにかダブっている気がして気持ち悪い。

必要のないアプリケーションはインストールしないのが主義なので、情報を確認しながらあれこれ挑戦し、失敗を重ねて今の状態になった。

もちろん、今ここに記した情報は、現時点での情報なので、鮮度は日々落ちてしまう。あくまでも自分の、そして2025年3月時点での備忘録として記録しているに過ぎない。参考にしていただくのは構わないが、もしこの情報よりも新しいものがあればそちらを採用すべきである。

IME

LinuxIMEについては、ChromeOS標準のIMEが使えるので、追加で何かをインストールする必要はない。ただし、英語キーボードを使っている(モノ好きの)場合は、追加で設定が必要になる。設定ファイルを2つ書き、ユーザローカルディレクトリの設定ファイル置き場に置くことになる。

これができれば、IME切り替えも含めChromebookと同じ方法で切り替えが可能になる(Ctrl+スペース)。個人的にはWindowsMacなどでのAlt+`で切り替えができると嬉しいのだが、ChromebookIME切り替えキーバインドは変更できなさそう。

フォント

正直言えば、「中華フォント」でも読めればいいとは思っているが、日本語の表示が崩れてしまうとやる気も削がれてしまうので、最低限読みやすいフォントを導入することにする。

インストールしたのは、Noto CJKである。入手のしやすさや信頼性という観点で選んでいる。

よく使うアプリについて

業務でよく使うアプリに関しては、SlackとNotionはWebアプリ版(ブラウザ)で利用することにした。SlackはAndroid版はChromebookで利用不可、Notionもインストール不可だったし、Linuxコンテナへのインストールを試してみたが、Notionは起動すらせず、Slackはログインが成功しない。

VSCodeUbuntu/Debian版を公式からDLして、ダブルクリックなりLinuxのホームにコピーしてaptでインストール。

Docker(Desktop)も公式(https://docs.docker.com/engine/install/debian/)の手順通りにインストールするが、その前にgnome-keyringも念の為インストールしてみる(関係ないっぽいけど)。

開発言語については、Flutter/Dartが必要なので、公式を参考にインストールを進める。選択はAndroidアプリ開発(おすすめ)で。ただ、公式では「Flutter開発にはAndroid Studioが『必須』ですよ*2」とのことなので、Android Studioもインストールしておく。

他のアプリも必要かと普段の開発環境を見直していると、思っている以上に使っているものが少ない。Dockerベースで動かしているモノが多いということも言えるが、基本はクラウドベースかつネット接続環境のあるところで開発を行っているので、最低限のセットアップのみでとりあえず現場稼働させてみることにした。

実践

実際の運用をしてみたが、結論だけ先に書いておくと、「事前準備なしでは現場投入は難しい」が、「ある程度準備ができていて、現場の状況を理解できているなら十分利用できる」という感じである。

もっと言えば、WindowsMacなど、現状一般的に出回っているOSを超えて、積極的に導入するには難しいと感じたし、今までの俺の考え通り、わざわざChromebookを買って仕事をしなくても、Windowsがあればとりあえずなんでもできる、とすら思っている。

ただ、いろいろと知見も得られたので、現場稼働をさせて思ったことを書き連ねてみる。

日常の運用

まずIMEの切り替えに関しては、セットアップの項でも述べたように、Chromebookキーバインドを変更することができないので、他のOSと合わせる、と言うよりは他のOSをChromebookに合わせることで解決させることにした。

で、実際に普段使いをしてみると気が付くのだが、バッテリー持ちは全然違う。同時にMacbook Proを持ち歩く機会が多かったのだが、Macbook Proが半日持たないところ、Chromeobookであればほぼ1日持つ*3

Chromebookのアカウントログインはgmailアカウントと同じ、と言うか、Googleアカウントごとにログインをすることになるため、gmailはアカウント単位でメールを読むことになる。おそらく複数のGoogleアカウント、というか複数アカウントにまたがってgmailの閲覧はできない仕組みになっていると思われるが、仕事で使う場合は仕事用のアカウント、プライベート用はプライベートアカウント、と切り替えができる、と言えば仕事とプライベートをわけr(ry、ということになるのだろうが、普段複数のウィンドウを使って作業をしている環境から考えれば若干不便だなぁ、と思う。

スマホのように、「アプリ」という形でインストールできないのは、主に仕事面で不便さを感じる。が、普段使いをする中ではそれほど苦にならないのが正直なところ。

「Wine」というアプリ

では、Windowsアプリをインストールする方法は全くないのか、と言うと、あるにはある。「Wine」というアプリがLinuxではインストールできるので、それを使えばいい、とネットには書いてあるのだが、過度な期待はしない方がいい。何しろ対応しているアプリが少ないのだ。もっと言えば、すべてのWindowsアプリが使えるようになるわけではない。

例えば、Microsoft365をインストールしたい、と考えても、Wineはそもそも対応していないし、Chromebook経由でMicrosoft365のインストーラは入手できない*4

運用上必要になりそうだったのでWineはインストールしてみたが、Wineで動かすべきWindowsアプリが無かったので*5、結局インストールしたままで使っていない。

Crostini

そもそも「ChromebookLinuxを入れてさいきょー」みたいなイメージで語られる(気がする)Crostiniだが、まぁしょせんLinuxなんで、大したことはできない*6。もちろん、Linuxアプリを入れれば何でもできるぜ、という発想は正しいし、想像力が豊かなのはいいことだが。

そもそも一度セットアップしたらCrositiniのコンテナLinuxはアレコレいじらない。しかもマシン自体の制約があるわけで、「何とか専用コンテナ」みたいなことも、今のところは考えていない*7

(結論として)使い勝手

まず何より、ChromeOSというオペレーティングシステムに関しては、無駄をそぎ落とし、かつ使いやすさを保った良いOSだなぁ、と思ってはいるのだが、既存のコンシューマ向けOS、MacOSであったりWindowsであったりと比べると、そぎ落とした部分が多すぎて、むしろクセツヨな印象がある。

https://racchie.hatenablog.com/entry/2025/07/02/183000

2016年に初めて試して以来この印象は変わっていないが、だからこそ、メインで使うOSではないな、とも正直感じてはいる。

また、「使い勝手」という点においては、OSであったりアプリであったり*8と言ったソフトウェア部分と同じくらいハードウェア部分も影響があるのだが、少なくとも今手持ちのChromeOS導入ハードウェア(純正ChOSのIdeapad DuetとFlex導入のX1 Carbon)については、多少の不満はあれどおおよそ満足できている。

敢えてその「多少の不満」を述べるなら、タブレットと2in1で使えるIdeapad Duetはキーボードが日本語であることと、その脱着可能なキーボードとバックパネルを取り付けることで重さが倍増する*9こと、X1 Carbonは外部機器を接続するためのポートが少なすぎることくらいだろうか*10

もちろんほかにも細かい不満はいくらでもあるし、それは他の所有PCでも同じなので*11、メリットだけを考えてみれば、十分仕事にもプライベートにも使える、と俺自身は思っている。

ただし、ChromeOSやFlexを他の人に積極的に勧めるか、と言うと、

NOである。

理由は簡単、『クセツヨ過ぎる』からだ。割り切って考えられるのであれば全然使えるし、そもそもWindows/Macではないのだから、同じようなことが同じようにできるわけではないし*12、少なくとも、PCを少しかじった程度の、デジタルネイティブではない人たちにとっては勧められない。

もちろん、デジタルネイティブな若者に対しても、最初のとっかかりとしては問題ないが*13、自分で所有して使う/使い倒すマシンとしてはおススメはしにくい。

ChromeOS Flex自体は使い倒す価値のあるモノだと思うが、かなり上級者向け。Windows10のリプレースでFlexの導入とか巷間では叫ばれているようだが、リプレースするなら同じ系統のOSにすべきだろう。

*1:どうしても、となればChromeOSに変更することも考えていたが、少なくとも現時点ではFlexで十分と判断している

*2:AndroidSDKがAndroidStudio経由でないとゲットできないってか

*3:実際には1日弱、6時間くらいだが、負荷をかける仕事をするとおそらく持ちは悪くなるかもしれない

*4:おそらく通常のやり方で、つまりブラウザから入手することができないようになっているのだろう。入手する方法さえあれば何とかなるのかもしれないが

*5:Linux版のアプリで何とかなったので

*6:と言うか、ChromeOSの「不自由さを補完する」という目的で使うものでもない

*7:正直言えば複数コンテナを作っておくと普段の開発と新規開発ネタ用みたいな使い分けは出来るので、開発は容易になるんだが、実運用上でそこまで厳密に何かやっているわけでもないので

*8:と言ってもOSに導入できるアプリケーションは限られているわけだが

*9:スペック上も文字通り倍の重さになると書いてある

*10:ポートリプリケーターと言うか、ドックが別売りされているので解決は可能だが、自宅でのメイン利用でもなければ要らない

*11:主にスペック面の不満である。そんなの言い出したらキリがないし、解消するための費用はいくらあっても足りません…

*12:同じことができるとしても、そのために必要な知識や経験はたくさんある

*13:GIGAスクール構想で使われていることを否定したくないからではなく、まず触れて慣れてみる、という観点ではWindowsMacよりは最適だろうと思う