小ネタ:転売ヤーとマスク、または度が過ぎる利己主義

あらかじめ補足です。この投稿の下書きを書き始めたのは4月の下旬。マスクの転売が法律で規制されている状態ですが、アルコール飲料メーカーから販売されている高アルコール濃度の「酒」の高額転売が始まった、というニュースを見聞きし始めた頃、とお考え下さい。あえて公開日をずらしたわけではないですが、わざわざタイムリーな話として挙げることでもないので...。

転売ヤー」の問題

マスクにせよ高アルコール濃度の液体にせよ、Nintendo Switchでもなんでもいいんですが、「転売」をする行為自体が悪いわけではなくて、転売をするにあたって、「珍妙なビジネスロジック」を振りかざして市場を混乱させていることが問題なんだと思うんです。需要が見込めるであろう物品をあらかじめ大量に購入して市場の物品在庫を減らしておき、在庫薄になったころにありえないほど高値で売りに出すというロジックは、小売りのロジックというよりは投資(投機?)的ロジックに近いように思えます。

私の個人的な考えとして、どうしても欲しい商品があっても「転売ヤー」さんたちからは購入をしないというポリシーはありますが、無駄な正義感を持って『彼らは害悪だ』などと主張するつもりはありません。ただ、マスクであったりアルコールであったりのコロナ感染防止に役立つような商品の高額転売を嬉々として(言い訳は数あれど)行っている人たちに関して言えば、利己主義が過ぎると感じています。

コロナ関連で経済が回っておらず、収入・売上が減っているのは転売ヤーに限らず誰もが同じなんだろうと俯瞰的に見て思っています。そんな中で見えてくるのは、利己的(自己防衛)な考え方が先行するのか、それとも利他的(みんなで頑張ろう)考え方が強いのか、というものです。先ほど転売ヤー(暴利な上前を乗せて高額販売している輩)は利己的だと書きましたが、世の中を眺めていると利己的なのは転売ヤーだけではないし、むしろそういう人たちが増えてきたのかもしれないなぁ、と感じました。

それは誰のための支援?

例えばこんなケース(実例ではないです念のため)。

以前から『シャッター街となった商店街を活性化しよう!』という運動をしている方が率先してそのシャッター街にとあるカフェを出しているわけですが、コロナの影響でカフェの営業をしばらく中止しなければいけなくなりました。そこで、カフェが閉店している期間の運営資金の寄付を募り、集まった寄付金の金額を毎日公表、最終的に目標金額に達したので暫時カフェを休業することになりました。もちろんカフェの中で不定期に開催されていた活性化のためのアクティビティもすべて中止になりました。

こういうパターン、というか、『地域活性化』という社会性のある名目で活動をしているわりには、現在のような社会全体の経済が落ち込んでいる状況であるにも関わらず、自分のところだけが生き延びれるような行動をしているような方が意外と多いんだな、と思いました。私も少し地域活性化の役に立てるかと行動を起こそうとしたことがあるのですが、わりとそういうところに集まってくる人たちは「思い」より「カネ」に共感している人が多い気はします*1

福島で感じた違和感

実は福島出張の際にも少し感じたことでもあるのですが、「復興」という名のもとに政府や自治体がお金を出しています。もう一度きちんと言い直しますが、産業や経済活動の「復興」を目的として、政府や自治体は産業支援であったり経済を回すための仕組みづくりをする人たちに対してお金を出しているわけです。なんですが、そのお金(一般的には補助金と言われる)を申請ができる限りして受け取って、湯水のごとくじゃぶじゃぶと使い込んでいく人たちが思っていた以上に多いんです。

個人で言えば、震災で職を失った人たちに出る手厚い補助金。仕事も探すことなく日がな一日パチンコをしているとか。企業で言えば「復興のため」新規ビジネスを立ち上げる人たちのための支援金。なんとなく商品を作ってみたはいいけれど売りさばくことに必死で売り方なんて何一つ考えていないから次の補助金や支援金を申請することばかり考えているとか。

自分のことばかり考えていないで周りのことも考えて、というのは簡単ですが結局自分のことだけで精一杯、という状態になるのは良く分かります。私自身がそういうタイプですから。でも、自分さえよければあとはどうでもいいや、という態度は私は取りませんし、そんな感じに見て取れるような人たちが意外とこういう非常時に見え隠れするもんなんだなぁ、と思いました。


最近(GW期間中)の市井のお話

最後に、若干地元(八王子)あたりのお話をします。普段は私自身あまり市街地、八王子の駅前周辺に顔を出すこともありませんが、どちらかというと不要不急の用のためのお店が多い場所ですので、たまに顔を出してもずいぶんと閑散としたなぁ、という印象を受けます。

どこ、とは言いませんし、特定のある店、という話ではなくいくつかの(関係性のない)私が訪れたことのあるお店で、先ほど例示したようなことをしていたお店があるようです。大変残念だなぁ、と思います。お伺いしたときにいろいろとアツい話を聞かせてくれたのに、結局そんな感じかよ、という。

ビジネスなんで、やり方も人それぞれですし、何が正解ということでもないとは思いますのでこれ以上愚痴をこぼしたところで始まらないのですが、私自身は商売の基本として、『動機善なりや、私心なかりしか』という稲盛和夫の言葉を心に留めて仕事をするようにしています。そんなマインドとは逆に見えるようなビジネススタイル、転売ヤーなどもそうなんですが、そういうやり方をしている人とはおつきあいをしたくないなぁ、とやっぱり思ってしまうわけです。

*1:もちろんそうでない方もたくさんいますし、そういう方たちとのお付き合いは今でもさせていただいています。