小ネタ:コロナウィルスとリーマンショック

新型コロナウィルスがとうとう世界的な流行の兆しを見せ(WHOによるパンデミック宣言)、人の流れが遮断されるようになると、お金の流れも徐々に停滞を始め、経済活動の縮小が起こり、世界的な不況になるのではないか、と言う論説、2008年のリーマンショック以来の大型不況、大恐慌になるのでは?と言う見立てもあるそうです*1

震災の経験は私がフリーランスになったきっかけの一つですが、実はリーマンショックフリーランスになる動機の一部であり、もしリーマンショックがなかったらフリーランスにはなっていないかもしれません。

リーマンショック当時のこと

2008年はヨメと結婚した年でした。前年に父が他界、より生活の基盤を強固にする、と言う名目もあって*2当時いた会社を辞めて、2007年に別の会社に転職したのですが、もともと経営状態が芳しくなかったこともあり、2008年の6月末をもって解雇されました*3

会社都合の退職なので、しばらくは失業保険をもらいながら仕事探しを始めましたが、月に50社ほど応募して、1社も声がかからないと言う状況が続きました。そんな中、どうやらアメリカ経済が不透明だと言うニュースをちらほらと見聞きするようになり、景気の減速感は転職市場に影響があるんだけどなぁ、と仕事を探していました。

そして2008年9月15日、ついにリーマン・ブラザーズ社が倒産、リーマンショックと呼ばれる不況状態に突入、求人もほとんどなく、あって応募しても採用されないまま、失業保険の給付もストップしてしまいました*4

ただ、実は2007年〜2008年はITバブルが弾けた時期でもあり、もともとIT畑の私はその手の企業に片っ端から応募するしかなく、やっと引っかかった会社は実は主要メンバーの退職でポストが空いたところにたまたま応募が2名入り、それぞれ違う強みを持っていたため2名とも採用されたと言う、経営がカツカツな会社の判断として微妙な判断の末の、いわば「おこぼれ入社」だった、と言う話を後日社長とお会いした時に仰っておられました*5

当時わざわざイバラの道を歩んだワケ

結婚もして、家族を養っていかなければ、と言う気持ちはありましたが、今更異業種へのキャリアチェンジは考えていませんでした。今も昔もそうですが、IT業界は単価が高いんです。当時は安定よりも高く稼いで転職を繰り返してキャリアアップを図ろうと考えていて、最終的にはそのアイデアが震災をきっかけに副業をすることになり、更に独立へ、とキャリアパスができあがってしまったのですが、この時点でも独立を前提に考えた仕事選びをしていたのかもしれません。

2020年のコロナウィルス不況を考える

リーマンショックとその前にあったIT不況、いわゆる世界金融危機の時代とは経済が停滞する理由は異なるものの、経済活動の停滞が企業活動にも影響を与え始めています。そして、企業活動が停滞を始めると、最初に影響が出るのはいつでも末端の労働者。政治が悪いのではなく、企業はそもそもそういうもの。特に今は働き方改革とやらで非正規社員だけでなく外部の契約社員(いわゆるコントラクターフリーランス:請負契約のフリーランス)が増え、都度契約だけど基本的に継続契約のフリーランスという受注形態を選んでしまったがゆえに仕事が突然枯渇してしまうという事態が発生したというニュースは見聞きされた方も多いのではないでしょうか。

消費をする側も、例えば仕事が自宅待機になり、子供たちも自宅待機で食事の準備やら世話やらで働くことができず、消費をするためのお金自体が枯渇していく事態になっており、企業活動に必要なお金が回っていかないという悪循環が起こっている、というのが今回の不況の真相なわけです。

あくまでもリーマンショック並の不況になるのでは?という論説はあくまでも論説であり、仮説なので、必ずそうなるわけではないと思いますが、可能性としてはある、ということでもあります。

対策はもう何もない、という悲観的な見方

よくある「コンナニヒドイ状況ダケド今〇〇ヲスレバ生キ抜ク事ガデキル」という記事。個人的には酷い状況が今そこにあり、アタマから突っ込んで進んでいる状況なのに、そこから簡単に逃げることができるわけがないと考えています。

働き方改革という側面で言うなら、今回副業が解禁されて、本業とは全く別の仕事が上手くハマってくれたとすればたぶん勝ち組になれているのではないでしょうか。逆に、副業というにはいろんな意味で依存度が高い仕事を受けていたから突然「雇止め」を食らって困るのであって、生き抜くためにもし副業をするのであればそもそも依存度を下げて多様性を持たせるべきであったし、今さら新しい仕事をやるべきだと言ってもその仕事の口はもうないわけですから、何をどんなに言っても、今さらなんです。

私がリーマンショック/世界恐慌東日本大震災の2つで学んだことは、生き抜くためには四の五の言っていられないということ。まだリーマンショックのころは私も四の五の言っていて、その結果がしばらく就職ができなかったという痛い経験でしたし、更に震災であらゆる機能が停止したことで、社会が機能停止しても自分自身が機能停止しさえしなければ生きていけるという確証を得た、とも言えます。

今できることは将来起こるかもしれない何かに対する対策でしかない

今できることを私もするしかありません。あいにく、仕事は順調に受注ができていて、むしろ在宅リモートであるという利点を活かして受注しているということは言えるだろうと思ってはいます。逆に、如何ともしがたいことも起こりうるわけで*6、どのような状況になってもいいように身の振り方を考えないとなぁ、とこういう時だからこそ思います。

と言っても、何かを買い占めて転売でもして高く売り抜けよう、というような「対策」は意味がないわけです。『「自分さえよければ」という心はヨクナイ』とか「動機善なりや私心なかりしか*7」とか言うつもりはあまりないんですが、儲けることが大事、ということではなく、それをやることで将来も安定できるのか、ということなんだと思います。マスクを大量に買い込んで高値で転売して仮に売り抜けられたとして、その「転売ヤー」さんたちはそういう人なんだ、と消費者からは映るわけです。アカウント変えればいいや、くらいに思っているでしょうが、意外とそういうの追いかけている人いますからね。悪評は付いて回ると思いますが。

だから、このような状況になってしまい、なんなら取り返しのつかない状態になってしまったとして、その状況は間違いなく悲観的なわけですが、だからこそ落ち着いて、冷静に、次にすべきことを着実に進めていくしかないんです。積極的に。

追記:本当は昔話でお茶を濁すつもりだったのに

元ネタの下書きを少し読み進めてみると、まだ「あくまでも仮説だよねぇ、でも実際にフリーランスが仕事からあぶれるケースも増えてきたとか聞くしなぁ」程度の情報量だったので自分自身でもなんとかなるかな、くらいなユルい気持ちで書いているんだな、と感じました。しかし、株価が実際に世界的に下落傾向にあり、各国の銀行も対策に動き出しているという状況を見るに、株安からの景気後退や、コロナウィルスに起因した案件そのもののキャンセル(失注ではなく仕事そのものが消えうせる)と言った事柄は今後もまだまだ起こるのだろう、と思わざるを得ません。

私のところではまだ起こっていないですが、そのためにできることは何かを日々考えながら仕事をしています。

*1:このネタを最初に書き始めたのは3/12、まさにWHOのパンデミック宣言の直後だったのですが、それから1週間もしないうちにこの見立ては現実味を帯びてきているようです。

*2:他にも色々とありましたがまぁその辺はご勘弁を。

*3:その会社も結局倒産してしまったようです。

*4:結局たまたま結婚前に職場で一緒に仕事をしたことのあるアデコ社に声をかけて、派遣登録をし、知己の担当者さんから案件を紹介していただき、震災の年まで働いていました。

*5:当時私は携わっていたプロジェクトが終了したタイミングでした。同期入社のメンバーはもともと管理職志向の方でしたので、入社直後に管理職を拝命、会社の主要メンバーとなっていましたから当然残留です。

*6:コロナ禍による失注の可能性がある案件も、実は抱えていたりします...。

*7:by稲盛和夫