まぁフリーランスで仕事をしていると借金もそれなりにするわけですが、最近は儲けも多少出てきたので借金をきちんと返していこうかな、と、わりと真面目に借金払いをしています。
親子での考え方の相違
我が家はまだ母が健在なのですが、借金の話を母にすると、
「借金は早く返せ」
と言われます。もちろん早く返すに越したことはないので、その点については認識は一致しているのですが、どうも母の言い分は、
「借金は今すぐ返せ。金が手元にあるなら何よりも最優先して借金を返せ」
と言っているのです。良くも悪くも母は支払いにはシビアで、とにかく期限内に支払いをすることを是としていて、さらに言えば無借金であることは是、ではなく「当然のこと」であり、借金をすることはどのような状況であっても「他人様にご迷惑をかける悪行である」というマインドを持っているように思えます。
父がまだ存命の頃に一度借金を抱えて会社を倒産させたことがあって、そのトラウマが残っているのかな、とも思うのですが、私もその当時はいい大人でしたから、何が起こっていたかも理解をしていましたし、私にとってその経験がトラウマになったのかどうかはわかりませんが、同じように理解をしてはいないようです。
借金が「他人様にご迷惑をかける」というのは、私も父が会社存続のためにあちこちから借金をし、それを結局自己破産という形で返済できなかった*1、という事実を目の当たりにしているので、お金を貸したら後々迷惑をかけてしまう可能性のある人には借りないようにしよう、と心には決めていますが、金を貸すことを商売にしている人たちについては別、とも感じていました。
金貸し業、と言っても消費者金融や闇金から、大手銀行や国の機関に至るまで、金を貸すことを商売にしている人たちはたくさんいます。彼らにとって、もちろん「踏み倒される」のは迷惑だと思いますが、早く返済することで彼らにありがたがられることはおそらくないと思っています。だとしたら、商売にしている人たちから金を借りて返すようにすれば、迷惑は(基本的に)誰にもかからないだろう、と考えたわけです。
「ある時払い」にはしない
そして、お金があればあるだけ借金の返済に回す、という考え方も基本的にはしないようにしています。「基本的には」と言っているのは、今ヨメが抱えている「住宅ローン」に関してだけは、一部の返済についてさっさと払ってしまおう、とは考えているからなんですが、このトリックについては後程。
借金の返済については、通常「毎月〇円」と支払金額が決まっています。と言うか、そういう返し方ができるところから借金を借りるようにしている、と言い換えてもいいのですが、例えば毎月3万円の返済があったとして、月に5万円の収入があったとしても3万円の支払いをし、20万円の収入があっても3万円の支払いにする、ということで、さらに言えば、月に2万円しか収入がなく、3万円の支払いができなければ3000円の支払いにとどめ、でも翌月50万円の収入があったからと言って、前月の本来支払わなければいけない返済額との差額(27,000円)と合わせて今月の3万円を支払う、ということはせずに、やっぱり3万円だけを支払う、という支払い方をしています。
これ、貸している方としては一見迷惑に見えますが、返済はとりあえずされているし、その分利息が増えるケースもあるため(延滞利息など)、それほど大きな問題として扱っていないように思えます。
借りている側にとってみればこのやり方のほうが都合が圧倒的にいいんです。毎月の収入が不安定であったと仮定すると*2、借金は月3万の返済として、毎月5万の収入は固定で見込めて、年に1~2回程度不定期に100万円の収入が加算される(その月の収入は105万)、みたいな状況の場合、100万円を借金払いに回すより、設備投資をする(仕事の効率化のために何かを買う)ほうがそもそもの収入のベースアップにつながる可能性もあるわけです。
私の事例で恐縮ですが、2018年から2019年にかけて収入が激減した時期があって、返済にも困る時期があったのですが、一度臨時収入が入った時に、返済は普通に行い、残りの収入を使ってAWSやGCPなどのIaaSを契約し、業務用のサーバを構築したりして仕事を獲得したことがあります。学習(講義を受ける)などの「自分への投資」も悪くはないのですが、お金を生み出す即効性がないのであまりお勧めはできないです*3。
借金は「悪」なのか
企業などではよく「無借金経営」を売りにするところもありますし、私も以前勤めていたベンチャー企業で「無借金」を売りに強気の経営をしていましたが、借金がないことは必ずしも企業の体質の健全さを示すわけではなく、投資を受けたり社員の持ち株分が結構大きかったりなど、売上とは関係ない部分での『資本』が大量に入ってきているだけだったりすることもあったりします*4。
逆に、借金をしてでも業務拡大を図る企業もあります。これも「投資」なのですが、売上につながる投資をするからこそ、その借金を返すことができる、そういう見込みがある、という意味ではむしろ健全な経営をしている可能性もありますし、知己の経営者に至っては、「借金をしていた方が仕事をするにも張り合いがあっていい」と言い切り、大きな借金を背負っては更に大きな仕事を取ってくる、という人もいるので、必ずしも借金が「悪」だとは言い切れないと私は思っています。
ただ、これは父から学んだ経験ですが、「自転車操業」になっている状態では借金をすることはむしろ最悪だということ。フリーランスという立場だと、仕事は取れない(あっても少ない)、でも生活に貧窮していて借金をして、とりあえず糊口をしのぐ、という状況が長く続けば続くほど借金の存在は悪に近づいていきますし、この状況で心機一転、一発逆転を狙って借金をして投資をするのは悪手以外のなにものでもありません。
経営という観点で見れば、後先を考えずに借金をする、という状況になるわけです。だって、ずいぶん前から経営(家計)は苦しかったはず。だったらもっと前から支出の切り詰めや収入源の確保などを検討すべきだったろうし(できるできないは別にして)、少なくとも経営において「窮鼠猫を噛む」というケースはごくまれで、だいたい一発逆転投資なんて失敗するのが関の山ですし*5、そもそも計画的な経営ができていなかったということですし、いったんお店はたたんだ方がよろしかろう、と私は思いますが。
余談:自分語り
私自身は、表向きは『ラッキーなことに』と、10年近くフリーランスの仕事を続けて来れたことについて感想を述べますが、裏では、もちろん運が味方したことは否定をしませんが、ある程度計画的に事業の継続性を保てるよう、またずっと20~30年くらい、私が70歳くらいになるまでは事業継続ができるようにしよう、と考え、計画の実行をしていました*6。また、その計画は今でも進行中で、かつ常に変動をしていて、数年後に最適化できるように今から行動をしています。
もちろん最初はうまくいきませんでしたし、見えている世界も小さかったので「その時点で最適な解」を実行する必要がありましたが、徐々に世界が広がってくると、「今とその次」「今とその次とさらにその先」みたいな計画ができるようになり、いわゆる企業や国などで行われる『中長期計画』みたいなものも、漠然としたイメージでしかありませんができていたりします。ただ、実際には「一寸先は闇」でもあるので、中長期計画を策定して実行したところで途中で必ずなにがしかの修正が入ることを考えれば、あくまでもイメージとして持っているだけでいいかな、と思っています。
借金という話に戻せば、2011年に副業でフリーランス(プログラマ)業を始めたころから、実際には個人としてはそれよりも前から多少なりとも借金はしていて、ずっと返済を続けていましたし、今も返済はしています。が、2020年の後半くらいになってやっと、借りる必要がなくなり、少なくともここ数年は借りなくてもよさそうな経営状況になってきました。とはいえまだ返すべき借金は多いので、地道に返さなければなぁ、と思っています。
急いで返して意味のある借金
ヨメが今抱えている、いや、2021年から抱えることになった住宅ローンについても、一般的に言えば借金なので決められた期限までに決められた金額を返済すればいいのですが、これに限っては急いで、つまり、決められた金額以上を、決められた期限の有無に限らず返していこうと考えています。理由は、働けるうちに返しておきたいから(=働けなくなっても年金で返すことを考えないようにしたいから)です。2021年に私は50歳になります。ローンは35年ローン(フラット35)なので、最終返済時の年齢は75歳です。一応70歳までは働きたいな、とは思っていますが、その歳になって今と同じ水準の収入が得られるとは考えておらず、60歳くらいで収入カーブがピークアウトするかな、と考えていたりします。
ヨメは会社員ですし、年齢的にはローン完済年齢とフラット35の返済上限とだいたい合致するくらいの年齢、ということにしておいていただきたいのですが(笑)、そうだとしても年間で得られる所得金額は今後ずっと少ないまま。だとしたら、少しでも借金を減らしておいて、定年後の年金生活に入るまでに家の支払いを終わらせておき、老後は借金に縛られることなくつつましやかに生きたい、という考えがあります。いずれにせよどこかで今の生活水準が保てなくなるのであれば、あくまでも無理のない範囲で、ではあるのですが、後にやってくる借金を減らす必要があるよね、と言うのが夫婦の見解です。
前述の「借金をした方が張り合いがある」と言っている経営者と考え方は似ていますが、この決断を夫婦でしてからお互いに仕事の量が増えていたりします。「ガッツリ働いてガッツリ稼いでガッツリ返そうぜ」、とまでスローガンを決めたわけではないですが、なぜかそんな感じで仕事をしていたりします。張り合いは確かにあるかな。
*1:法的にはそれで問題はないですが、金を貸した友人知人にとってみれば「踏み倒された+逃げられた」と思うわけですし、当然顔向けもできないわけです。
*2:フリーランスなんて毎月収入は不安定ですから、私にとっては仮定でも何でもなく、「これが現実」なんですが。
*3:私もIaaSの使い方は使いながら学びましたが、顧客には「私は使える人間ですから」と若干ハッタリをかまして裏でヒーコラ言いながら勉強していました...。
*4:ご推察の通り、以前勤めていたベンチャー企業のことです。今どうなったか、興味もないので調べてないですが。
*5:八方ふさがりで何も見えていないから「とにかく稼げる」と飛びついて失敗、というのがお決まりのパターンです。
*6:計画がうまくいくかどうかが運の要素でしたが、現時点での結果としては「当たりを引いた」と思っています。