マーケオタクのボヤキ:マーケツールとしてのSNSの使い方

仕事で仲良くなったとあるお店の店主がFacebookでイベント告知をしていたので、ちょっと気になってイベントの概要をチェックし始めたのですが、とにかくほしい情報にたどり着けなかったのですよ、というお話です。『これが今の常識』、と言いたいのはわかるのですが、実際にそうだとしたらあまりいい常識じゃないなぁ、とオールドスタイルなマーケオタクとしては思ってしまうのです。

顛末

もともと仲良しの店主とは、店舗も訪れたことがあるし顔見知りではあるので、他の店舗とのジョイントイベントの投稿を見て最初に思うのは、「お、やってるじゃん」という程度。日程を見て、そのイベントには参加できないなぁ、と判断すると、もちろんその店主の店に次はいつ行けるのか、と考えますが、さらに、ジョイントでやっているほかの店舗さんの情報も気になります。なにやら美味しそうな文字が並んでいれば調べたくなるのが食いしん坊の性、というヤツです。

そこで店舗名を調べてみる(ググってみる)のですが、なぜかヒットしないんです。検索のトップに表示されているSNSの投稿やページをクリックしてみるのですが、どうもその店舗に関する情報なのかどうかの確証が持てないんです。

そもそも、ジョイントイベントのフライヤーには、店舗名と販売している商品についての情報が1行でまとめてあるだけ。デザインとしてはすっきりしていますが、ざっくりとした内容で店舗の売りもなにもわからない。例えば「無添加グルテンフリーのパン」と書いてあっても、同じ商材を扱う店舗はその地域に1件しかないわけではないですし、全国展開もできるSNSにおいて、商圏が全国に広がっている状態で同業他社は増える一方。アピールポイントが見いだせないフライヤーになっています。

投稿には「@(アットマーク)」で始まるユーザ名らしき情報もあるのでクリックしてみると、どうやらInstagramのページに飛ばされるようです。飛ばされた先のページには美味しそうなパンの写真ギャラリーが並んでいます。それぞれクリックしてみますが、パンの名前やお店の名前はタグ付けされていたりするのですが、肝心の「この店がどこにあるのか」がまったくわかりませんでした。パンであれば他にも行きたい/買いたい店もありますし、馴染みの店もあるので、その店に対する興味はそこで失せてしまいました。

SNSマーケティングにおける「大きな勘違い」

小規模店舗を立ち上げる時に限った話ではなく、どうやって最初の顧客を呼び込むか、というのは実は一番難しい問題です。パンの話で言えば、自分の家族以外の人たちに、「美味しい」「見合った価格である」「買いやすい」といった情報をどのように伝え、実際に行動を起こさせるのか。そして、その顧客数がどの程度まで増やせるのか。

ターゲティングや商圏分析、商材自体の分析など、専門的な用語を並べてしまうとよくわからなくなるのですが、まず何より誰かに買ってもらうこと、「ファンマーケティング」という手法ですが、まずはこれを実店舗がある場合は店舗のご近所さんから実践すると、先ほど挙げた専門的なマーケティング手法の実践につながっていきます。具体的な例は別項で説明をしますが、何とかして顧客0から1に増やすことが必要です。

そこで便利なのがSNSです。いわゆる「映(ば)える」写真やタグ付けをしておけば、勝手に検索をして勝手に流入してくれる。とても「映える」写真や動画であれば「いいね!」がたくさん付きますし、レスポンスもたくさん帰ってくるはずです。『美味しそう』『食べてみたい』などなど。

SNSの投稿をする側である店舗は当然ページのアクセス数やレスポンスの数を確認できていますし、レスポンス率が高いということはそれだけ「興味を持っている」ということでもあるので、顧客が訪れるであろうという期待を持っているはずです。しかし、実際にふたを開けてみれば、思ったほど客が訪れるわけでもなく、SNSで大人気であった商品も売れ筋とは程遠い売れっぷりだったりします。結局「頑張ってみたけど売れなかったよね...」となってしまうわけです。

そう、SNSでどんなに「いいね」やレスポンスがあっても、それが顧客の購買行動に結びつかなければ何も意味がないんです。これを勘違いして、レスポンスだけで満足してしまっている人たちが多いんです。

「古い」マーケ手法を使っている

SNSマーケティングをするときによく聞く言葉に、「AISAS」という言葉があります。電通さんが提唱した、インターネット時代の購買行動様式なん(だそう)ですが、

  • Attension(認知する):商品や店舗を知るフェーズ
  • Interest(興味を持つ):商品や店舗に興味を持つフェーズ
  • Search(「検索」する):商品や店舗に関する情報を集める*1フェーズ
  • Action(行動を起こす):※1
  • Share(共有する):※2

と、上から順に行動していく、と考えています。ちなみのこれ、提唱されたのは2005年で、人によっては「古い考え方だ」と吐き捨てたりもします。確かに私も古さを感じはしますが、おおよそこの流れで現代人も購買行動を起こしているのかな、とは思っています。

私が古さを感じている、というか、現代人の行動様式と違うかな、と思っているのは、Action→Shareの流れ、というか、その前段階のShareからの一連の流れがちょっと流動的だな、と感じていたりします。

本来※1(Action)の説明箇所には、「商品を購入する/店舗を訪れる」という実際に購買をするという行動が示されています。そして※2(Share)についても、「『購買後に』情報を共有する」と定義されています。ただ、提唱された当時はまだSNSも黎明期(Facebookmixiは2004年のローンチですが、Twitterは2006年、Instagramが2010年、LINEは2011年)、むしろブログ、特にアルファブロガー、今でいうところのインフルエンサーによる情報拡散が行われていくだろう、という意味合いが強い印象を受けます。

今はどうかというと、Share(共有)の意味合いが以前に比べるとかなり変容しているようには感じます。もちろん「インフルエンサーマーケティング」という言葉も存在しているように、購買→共有による情報拡散、という流れはあるのですが、SNS自体の利用障壁が以前に比べて下がったことによって、商品の購入とは無関係に「映(ば)え」に対する共有(≒共感)が発生しているのではないか、と考えています。だから、「いいね」に呼応するコメントも、『きれい』『かわいい』『美味しそう』であり、「美味しかった」ではないし、写真というコンテンツ自体に対するリアクションでしかないわけです。「承認欲求」というキーワードが想起されます。

基本(原則)に基づいて考え直してみる

マーケティングの本質、というか本来の目的は、

お客様に商品を買ってもらうこと

です。通信販売を行っておらず、1つの店舗だけで細々と営業をしているのだとしたら、どのようなマーケティング手段を使うにせよ、最終的に必要な情報は、店舗への道筋です。住所、地図、連絡先(電話でもメールでも、SNSのメッセージでもいいですが)。商品に興味を持ち、店舗に足を運んでもらい、初めてお客様は商品に対面するわけですし、その時点で興味をすでに持っているはずですから(AISASを参照)、よほどのことがない限りその商品を手に取り、購入をしてくれるでしょう。

「ターゲティング」の概念自体はSNSにそぐわないかな、と思うのですが、だとしても広告媒体としてSNSをとらえた場合、商品を見て、その商品を飼うことができるかどうか、という判断ができる情報として、実店舗だけなら住所の記載があること、通販での販売をしているなら通販サイトへのリンクがあることは、顧客のターゲティングにはつながります。そぐわないと私が言う理由は、日本全国のみならず世界に向けて発信しているSNSと、実店舗であればとても限られた商圏との乖離があるし、通信販売にしても通信販売サイトへのアクセスができる人とできない人が分かれてしまうことがあるよ、という意味であって、世界にオープンだから、住所もいらないよね、とはならないわけです。少なくとも店舗で商品を作って売っている人たちにとっては*2

商圏分析や商品のSWOT分析(特に強み・アピールポイント以外の部分)も、SNSとはかけ離れた印象があるのですが、SNSを見て検索をしてみれば、どこもかしこも「オーガニックな」「グルテンフリーな」「からだにやさしい」モノばかりが「通販でも手に入る」。

商圏分析に関して言えば、本来は自店舗の周辺で、例えば同系の業種がいないかどうか、購入の見込みのある顧客層が住んでいるのかどうか、といったことを調べるわけです。パン屋で言えば、同じような商品を売っているパン屋さんがすでに近くに店を構えていて、売上も高く、評判も良い、となると、後発の店舗としてそこに店舗を構えるべきかどうかの判断材料になりますし(店舗を構えるということは勝てない勝負を挑むことになりかねない:レッドオーシャン理論)、仮に近隣に競合店がなかったとしても、パン食をあまり好まない世代の方たちが多ければ、例えば硬いパンを売りにしているにもかかわらず周囲には老人しか住んでいないとすれば、おそらくそのパンは売れないだろう、とか。

商品の分析について、上記のような分析(硬いパンと商圏)もありますし、同系の業種がいたとしても、商品の強みが差別化につながるのであれば、同業他社との共存という可能性も見いだせますし*3、逆に商品の弱みを売りにするパターンもあるので*4分析は必要だと思いますが、SNSが広範囲に情報を拡散できることを考えると、その中で自社の強みを出すのは、よほど強いメッセージ性や商品企画力がない限りは他の類似商品の中に埋もれてしまいます。

SNSと旧来のマーケティングは並列で運用しないと

とかく「SNSは無料で多くの顧客にリーチできる」という利点だけがクローズアップされてしまい、とにかくSNSだけで顧客を増やせばいい、とSNSにおんぶにだっこ、という人たちは多いような気もしています。ですが、どうも店舗の特性とSNSの使い方がちぐはぐな印象を受ける方たちも多く、なぜ昔ながらのマーケティングをしないんだろう、した方がいいのになぁ、と感じることはとても多いです。

特にリアル店舗を構えていて、食品を取り扱っていて、かつネットショップの運営ができない、という条件が重なっている方たちは、ぜひSNS以外のマーケティング手法を採用してほしいと思います。と言っても、広告を打ち、ダイレクトメールを大量に送って、というような話だと広告代理店などを介さないといけないしお金がかかる、とお思いでしょうが、実際には自分でもなんとかできるわけです。

広告を打つのもDMもそうなんですが、近所の家々にチラシを自分で(プリンタでも手書きのコピーでもいいですが)印刷して自分でポスティングすればいいんです。ご近所さんと目が合えば、ご挨拶しながらチラシを渡せばいいんです。その方がよりご近所さんが興味を持ってくれますよね。店舗があるということは(そして食品の取り扱いなら)「商圏」は一般的に狭いんです。まずご近所さんをファンにすることを考えるだけでも十分売り上げに貢献するはずなんですよね。

*1:インターネット時代では情報を集めるためにまず「検索」します。

*2:商品を持たず、店舗も持たない商売をしている、例えば私のようなフリーランスエンジニアであれば、SNSやオウンドメディアなどはターゲティングのための道具としては最適ではありますが。

*3:競合が国産小麦で売っていて、自社がグルテンフリー/アレルゲンフリーで売っているのであれば、お互いに顧客層が被らない可能性が出てきます。

*4:賞味期限がめちゃくちゃ短いケーキなんかはその好例でしょう。店舗に来なければ絶対に食べられないですから、店舗で食べるというイベント自体が「映え≒共感」につながるので。

小ネタ:(Windows版)Edgeブラウザの新旧共存に関する対処

小ネタというよりは備忘録です。Web開発をしていて「ブラウザによって見た目が異なる」というケースがよくあるわけですが、先日まさかの「Edgeで見れない」という問い合わせがあって*1、旧版を復活させる方法と旧版・新版の「共存」を行うべく、Windowsの設定を「ごにょごにょ」した記録を残しておきます。

その前に

対象になるWindows10のバージョンですが、上がれば上がるほど難易度が上がる、というか、共存ができなくなっていく、という感じなのでしょうか。

2004では共存ができたのですが、20H2では共存ができません(旧版復活は可能です)。少なくとも記事を書いている段階では。

ざっくりとした手順

qiita.com

ここが一番詳しく、基本の流れはこれで理解できます。 仮に、Windows10 Homeを使っていて、グループポリシーエディターが開かない、ということであれば、ググればすぐにやり方が出てきます。

要はグループポリシーエディターで、

Microsoft Edgeでのブラウザーの同時実行エクスペリエンスを許可する

を有効にした状態でChromium版をアンインストールして、再度インストールをすれば共存可能、ということになります。

Chromium版のアンインストールができない

2004でもそうでしたし、1909でもWindows Updateで上がってきたパッチでインストールされた状態だと、設定>アプリ、とか、コンパネの「プログラムのアンインストール」ではアンインストールができないようで、強制的にコマンドラインからのアンインストールを実行する必要があります。詳しくはこちら。

www.atmarkit.co.jp

20H2では旧版復活のみ

実は、2004で共存をさせることにしたその日(11/12)、20H2がWindows Updateに表示され*2、急遽予定を変更して全マシンの20H2化を進めました。一番最初にアップデートが完了したのはスペックも高い開発メインマシンでしたが、アップデートの完了後に気づきました。そうだ、Chromium版と旧版の共存どうなってるやら、と。

確認したところ、Chromium版にアップデートされ、旧版は表示されていませんでした。上記手順で共存を試みましたが共存できず、結局旧版のみ表示を行うようにしました。Chromeがメインブラウザなので、Chromium版EdgeとChromeは同等のブラウザと考えて、旧版のみがあればテストにはなるだろう、という判断が一つ、2021年の早い段階で旧版のサポートが切れ、さらに言えば20H2のアップデートは2004と比べると浸透しやすいだろう、という判断があるので、あくまでも一時的なものとして旧版Edgeだけ残しておけばよいだろう(他のマシンにはChromium版Edgeが導入されている、というのも理由ですが)、と考えました。

ということで。

期間限定ですよ~

forest.watch.impress.co.jp

実際のところ、旧版Edgeは2021年3月にサポート切れになり、更には、今回の問題の原因でもあったChromium版への自動移行も進んでいることを考えれば、この記事(にともなう対応)も期間限定だったりするわけです。賞味期限がある記事で恐縮ですが、何かのお役に立てれば幸いです。

*1:実際にはコードに問題があったわけではなく、単なるキャッシュの問題で読み込みができていなかっただけでした。午前中インシデントの報告を受け、対応します、と返事をしたものの、手元のChromium版Edgeで再現しなかったので、今回説明する旧版の復活をさせる必要があり、いろいろと下調べをしていたところ、インシデント報告を上げてきたところから「解決しました!」という連絡が。「え?俺何もしてないけど...」ということで、結局問題がキャッシュだったと判明したのですが、やっぱり使えないことで理由がわからないというのは対応する側としても問題があるので、やっぱり旧版を使えるようにはしておかないとな、と対応しました。

*2:我が家の開発マシンはWSL2の関係で2004にしていたのですが、それ以外のマシンについては1909のまま、2004にはしないまま20H2にアップデートです。幻かよ。

ニッチな世界へようこそ

www.nishinippon.co.jp

転売ヤーが跋扈する中、その転売ヤー本人に取材した記事が、まさかの新聞に載る、という(ネットオンリーの記事?)面白い記事を見つけて読んだのですが、どうやらその記事、連載になっていて、まさに、

子どもが憧れる職業にはランクインしないが、需要があればこそ、存在するなりわい

を紹介する連載記事。まだこの記事を書いているタイミングでは5回しか連載されていませんが、コスプレイヤーまとめサイト、エロ系ネタなど、「あぁ、そんな世界もあるよね」と思い出してニヤリとしてしまい、さらに「中の人」の生々しい現実を見て多少感情を揺り動かされたりします。

ただ、読んでいてふと、『そういえば自分自身も最初ニッチな世界にいたはずなんだがなぁ』と思い出したので、自分の過去も絡めながら記事の読後感想文を書くことにします。

記事を読んで思ったこと

5回分全部読んでいますが、今回は転売ヤーさんの記事に注目します。実はTwitterでこの記事がトレンドに上がっていて、それが読んだきっかけでした。

あらかじめ書いておきますが、私自身は異常なまでに価格を釣り上げて転売を行う行為に対しては反対です。ちょうどこの記事の下書きを書いている日(11/12)にPS5が発売され、早速転売ヤーたちが動いていた、というニュースを目にしたところですが、たかが1台しか入手できなかったであろう人が、5万円のモノを10万円で売りさばき、5万円(弱)の利ザヤを得ることができたとして、たったそれだけの儲けのためにどれだけ費用をかけて元の5万円するモノを入手したのか、本当に考えているのだろうか、つまりその利ザヤで稼いだ5万円は本当に「儲け(=利益)」だったのだろうか、と私は思っています。

転売ヤー

さて、記事の話。

www.nishinippon.co.jp

2ページくらいの短い記事ですのであえて要約もしませんし引用も最低限にしておきますが、多分「転売ヤー」たちの考えはこの1行に集約されるのかな、と思うんです。

モットーは「楽して稼ぐ」。

誰だって苦労することは嫌だし、辛いことも経験しなくてよければ避けて通りたい。『若いころの苦労は買ってでもしろ』とは私も若いころに親や上司から言われていたことですし、事実若いころに避けていたことを30台後半くらいで直面せざるを得なくなるケースは何度もあって、それこそ「若いころに経験しておけばよかったのかもしれない」とは思いました。

でも、やっぱり「楽」をしたい。記事の中で転売ヤー氏も語っていましたが、

そこそこの生活でいい。転売で1カ月頑張って、その稼ぎで3カ月休む生活が心地いい

平日は毎日朝早くから夜遅くまで働き、休みの日は家のことをあれこれとやって、結局休める時間なんて夜(と休みの日の)寝る時間くらい、という生活、サラリーマン時代の自分を見ているようですが、普通に働く人たちの生活なんてどれも似たり寄ったりだと思います。もちろん、そこには「そこそこ」ではない、一般的な社会人が目指している中流的な生活があるのですが、それを維持するためにはどうしたって「9時から5時まで」の仕事をしないといけないわけです。

1か月身を粉にして働き、「そこそこの稼ぎ」を手にして2~3か月は楽して暮らす、というその日暮らし的な生活を少し大きいスパンで行おうとすると、年の3/4くらいで年収のほとんどを稼いで、1~2か月バカンスを楽しむ、というスタイルが考えられます*1。そういう生活、あこがれませんか?もちろん、日本では無理、と思われるでしょうし、実際にサラリーマンでなくとも私のような個人事業主でもいろいろとしがらみがあったりして長期バカンスは難しいだろうな、とは思いますが*2

当たり前のことなんですが、どんな「商売」をしていても、苦労は尽きないわけです。転売ヤーで言えば「今売れている商品」ではなく、「今後爆発的に売れていくであろう商品」を探して、それを店頭在庫がなくならないうちに買い占めてしまう、ということ。「探す」ことは情報収集能力の高さが必要になりますし*3、さらには在庫を持った以上はそれを「売りさばく」必要があり、一気に(短期間で:需要があるうちに)売り上げを上げなければいけないという問題もあるのですが、それをうまくやっている(できている)人たちは商売人としての素質があるんだなぁ、と思います。尊敬はしませんが。

ニッチな仕事を理解される必要はあるのか

今年の後半くらいから外出する機会も増えて、その時によく聞かれるのが、

「そういえばずっと在宅でお仕事をされていましたよねぇ。」

何を意図してこの質問をされるのか、シチュエーションによっても異なるのですが、基本的には「在宅ワーク」「テレワーク」の需要拡大による売上への寄与、というところに話が落ち着きます。短絡的な答えを言えば、在宅業務をずっと行っていたことで今年の売り上げはそこそこ伸びている、のですが、「在宅」だったから「売り上げが伸びた」わけではなく、在宅ワークを長く(6年以上)続けていたからこそ持っているノウハウがあって、それがコロナ禍におけるテレワークの需要にハマる部分があったからこそ営業がかけやすくなり、結果受注につなげることができた、という、意外と長い話になったりします。まもなく毎年恒例の「今年一年の振り返り」記事を書き始める予定ですが、この長い話については振り返りの時にでも。

去年までは、「在宅でフリーランスエンジニアをしています」と言うと、だいたい鼻であしらわれる感じで、なんなら「可哀そうな人」くらいな一瞥をくらわされ、果ては「真面目に働くこと」についての説教まで食らうほど、認知度も低く、大した仕事もしていない遊び人、みたいな扱いを受けていましたが、今年に入ってからとても興味を持っていただけて感謝をしていますが、正直「なんなのその手のひらを返したような態度の豹変は」と思っています。もっとも、そういう方たちとは薄いお付き合いしかしないようにしていますが。

転売ヤーという仕事もそうですが、「一般的な社会人」が歩む「一般的な生活|仕事」とはかけ離れた生活|仕事は、到底「一般的な社会人」には理解しがたいのだと思います。それこそ自分の生活の中で当たり前のように買えるはずのなにかが突然買い占められていて高値で売りさばかれようとしている、という現実は受け入れられないし、毎日会社に通勤し、朝から晩まで働く生活を送っていれば、一歩も家から出ることなく日がな一日パソコンに向かって何かプログラムを書いている仕事がある、という事実も受け入れがたいでしょう。でも、それがそこに厳然として存在する「ニッチな世界」なんです。

認めてほしい、とは思っていません。自分自身、在宅エンジニアの地位向上なんて求めていませんし*4、むしろこういう世界への参入者が少なくあってほしいと思っています。でも実際には、転売ヤーもそうだと思うのですが、「今の時代、少しでも稼げるのはこのやり方だ!」みたいな感じで情報が流布し、中途半端に参入してきて「場を荒らす」輩が増えてきます*5。そういう中途半端な輩が途中で仕事を投げ出したりあたかも暴利をむさぼるかのような挙動をするから先行している「同業者」が割を食らってしまうのではないかと思うのですが。

余談:転売ヤーの味方なの?敵なの?

味方か敵か、という考え方が正しいのかどうかわかりません。要は転売ヤーのことを「クズ」だの「消えろ」だの思っているのか、という話だとすれば、そこまでは思っていないけれど、ある場所にいるときだけは敵になる、と感じています。

私はほかの記事でも結構書いている通り、中古屋、ジャンク屋巡りが趣味ですし、そこで必要なものを買うことがとても多いです。が、ここ数年、中古屋、特にハードオフあたりで目にするのは、売っているモノとスマホを交互に見ている人たちです。いわゆる「せどらー*6」です。猛烈に増えた、というわけでもないですが、最近はいつ行っても誰かしら必ず先客がいて、ずっといろんなものを物色しています。私が欲しいモノが必ずしも彼らのお眼鏡にかなうかどうかはわかりませんが、状況によっては同じものを買おうとするかもしれません。そんなシチュエーションにおいては彼らは敵になりますが、それ以外は別にどうでもいいかな、と思っています。「せどり」自体が儲かる仕事だと私自身は思ってませんしね*7

まとめ:ニッチな世界=それぞれの世界

西日本新聞」という地方紙での紹介ではあるものの、それこそ新聞を毎日読み、日々ルーティンワークを過ごすような人たちにとって、こんなニッチな世界に生きる人たちのことを紹介したルポはそれなりの衝撃ではないのかな、と思ったりします。

ネットでの評判、というか、この記事をリツイートしたTwitterの反応を見ると、通り一遍な「転売ヤーは消えろ」「奴らはクソ」といった書き込みがほとんどでした。別に、この記事を書いた人も彼ら(記事で紹介した人たち)の生活を理解してほしくて書いたわけではないと思いますし、むしろ「働き方の多様化(ダイバーシティ)」という点での面白さを求めて書かれているんではないかな、と邪推してみたりしています。

ニッチな世界にいる人たち、私もそうですが、日陰者は日陰者として、生きていることは知っていてほしいけれど、そっとしておいても欲しいかな、と思うんです。それこそ記事の転売ヤーさんではないですが、私も、

そこそこの生活でいい

と思っています。高望みせず、身の丈に合った生活をしたい。そのために必要なお金が稼げればそれでいいんです。老後のことなんてわかりません。過去に一度、再発可能性が大変高い脳梗塞で倒れたことがある私です。次はいつ倒れるか、そして次こそは重い後遺症が残るかも、といった恐怖と闘いながら、日銭を稼ぐ毎日です。『老後も豊かな暮らしを』なんてうたい文句で副業や貯蓄・投資を推奨する人たちを見ていると、むしろ「お前らのほうがクソじゃ」と毒づきたくもなるのです。

*1:バカンスの本場フランスでは1か月以上の長期休暇を連続して取得できるらしいので、年に一度のバカンスを楽しみに年の残りの期間を働く、というライフスタイルになっているのかな、と思うのですが。

*2:私ならワーケーションというスタイルで結局仕事をするんだろうな、とは思います。もしバカンスらしきことをするなら、ですが。

*3:コロナ禍でのマスク買い占め→転売はまさに情報収集能力や現状分析能力の高さのなせる業だな、と思います。 それに対してゲーム機については、ちょっと情報の深読みが過ぎる感じがします。特にSwitchの転売に関しては、たまたまコロナ禍の巣ごもり需要にSwitchではなくそのコンテンツである「あつ森」がマッチしたことで、付随的にSwitchが売れた、という状況ですし、Switch/あつ森は持っていなくても困らないモノなので、最悪供給が安定してから購入してもいいと思えるはずです。子供がねだってもそのあたりをきちんと(子供のわかるように、ですが)説明できれば子供だって納得してくれるでしょう。PS5に至ってはただ好事家狙いの無意味な逆ダンピングにしか私には映りませんが...。

*4:私は転売ヤーよりウーバーイーツの配達員みたいなギグワーカーのほうがよほどキライなのですが、社員としての雇用を求めないくせに保障だけは社員と同等のものを求めるというご都合主義的な考え方をしている人たちが多く、そのくせマナーも悪くて...、と、とにかくキライ。

*5:ゲーム機話が何度も出て恐縮ですがPS5なんて、転売する人も含めて一人1台しか買えないわけでしょ?だとすれば、PS5を1台買って転売して、というだけで利ザヤはたかだか数万円しか稼げないし、それ以上の利益にはつながらないんですよね。ごく短期的にお金は稼げる可能性があるとはいえ、普通に商売をやっている立場で言えば儲けの少ないブツだなぁ、と思うんですがどうなんでしょうね。

*6:せどり販売を行っている人たち。転売ヤーと似ていますが、話題になっているモノだけではなく、とにかく利ザヤ稼ぎを生業にしているので扱っている品目は多種多様、とにかく中古品が格安で売っているものを仕入れて高く売り抜けるという人たちです。

*7:特に、転売ヤーもそうなんですが、副業でやるような仕事ではないと思っています。ネックになるのは先に挙げている「情報収集」「大量購入」「在庫の一掃」という3点。このどこかができなくなるだけで売り上げがなくなるはずなので、私にはできないかな、と思ってますし、専業化させるにもリスクが大きすぎます。

生産性向上委員会:(アナログ)手帳

不定期にやっとります「生産性向上」のためのちょっとしたヒント集、今回はアナログな、いわゆるシステム手帳についての考察です。

手帳遍歴

そもそもこの10年くらい、手帳というものを持ち歩かない生活をしていました。昔は持っていたんです。しかし、スマホを持つようになった頃から手帳のデジタル化は粛々と進めていて、現在は

という組み合わせで管理をしています。ここに至るまでもデジタルツール/サービスについてはいろいろと試行錯誤をしていたのですが、更にその前の、デジタルツールを使っていなかった頃のアナログ手帳もそこそこ、ですが試行錯誤を繰り返していました。

ざっくりと言うと、

一般的な手帳→超整理手帳フランクリンプランナー超整理手帳→アナログ廃止

という遍歴で、自分でも意外ですが、超整理手帳の利用歴がおそらく一番長いのではないかな、と思います。

「一般的な」手帳時代

単なるメモとしての第1世代

更にスケジュール管理の要素が加わった第2世代

目標管理や能率・効率を追求する第3世代

www.franklinplanner.co.jp

フランクリンプランナーの言を借りれば、いわゆる「第1~第2世代」の手帳です。その辺の本屋さんなどに行けば手に入るヤツ、日能研とか高橋とか、です。

まさに「メモ+スケジューリング」という機能。製本型の手帳が一般的ですが、あれもこれも、と機能を追求しだすとどうしても「システム手帳」という方向に向いてしまい、手帳の沼にハマっていくわけです(笑)。わたしもそうでした。そして、ハマって行くのですが結局使いこなすこともできず*1、いつもなんとなく持っているモノ、みたいになってしまっていました。

ちなみに私自身は、かなり昔からの「PDA(パーソナルデジタルアシスタント)/PIM(Personal Information Manager)」ユーザでもあったので、スケジュールや住所録をPDA/PIMに転記する作業も結構やっていました。今でもふとスマホでスケジュール確認をしていると思い出します。

「超・整理手帳」との出会い

きっかけが何だったかはいまだに思い出せないのですが、おそらく当時まだ黎明期だったインターネットか、雑誌かなんかだと思います。会社勤めを始めた頃(1998年頃?)ですが、学生だった頃に比べて管理すべきスケジュールの量が突然増えたわけです。当時の仕事は印刷屋の営業でしたので、複数のところから現行の入稿や校正戻し、出稿があるので、情報が輻輳するわけです。既存の手帳では管理しきれないなぁ、と感じていたところに「超・整理手帳」の存在を知り、早速書店に買いに行きました。まだそれほど知名度も高くなく、都内を随分探した記憶があります。

メリットはやはりスケジュールの一覧性に尽きます。普通の手帳でも、月間予定表であれば1か月の予定が俯瞰できるのですが、予定が増えれば増えるほど見にくくなりますし、単発スケジュールではなく、長期的なプロジェクト、印刷屋で言えば原稿の入稿から出稿までのスケジュールを複数管理しつつ、新規顧客を探すための営業活動もしなくてはならない、となると、月間予定表ではスケジュールが細かくてわかりにくく、週間予定表では全体が見えない、そして、月間+週間予定の「併記(または転記)」は手間がかかることと記載漏れのリスクがある事、これを一気に解消してくれます。

ちなみにフランクリンプランナー的に言うと「超・整理手帳」は2.5世代くらい。効率の追求という点では第3世代に近いですが、目標設定は(単体では)行えないので第3世代とまでは言えない、というところでしょうか。

フランクリン・プランナー

社会人を長く続けていると、超整理手帳ではできない「目標設定」、というか、いわゆるタスクの優先度の管理を行いたい、という要求が出てくるようになりました。最初はただ与えられたタスクをこなすだけでしたが、肩書が増えたり役付きになったりと、部下を持つようになればそれだけ管理すべきことが増えてきます。

最初はタスク優先度の設定についてどうすべきか、ということを調べているうちにフランクリン・プランナー(と、バックグラウンドの考え方である「7つの習慣」)でも採用している「時間管理のマトリックス」にたどり着き、その管理手法をもう少し突き詰めていきたい、とフランクリン・プランナーに移行した、という経緯だったと記憶しています。

ただ、実際に時間管理のマトリックスに沿ってタスクの優先度をつけたとしても、結局は自分の思った通りの優先度で物事が動いてくれませんでした。自分にとって、緊急度と優先度という2軸があるのだ、という理解があっても、それはあくまでも自分にとってのことでしかなく、全体として優先度が高く、さらに緊急度も高いものは往々にして多数あり、しかもそれぞれの人にとっても優先度の軸があるのだから、結局ほとんどの日常のタスクが最優先されて、『自分にとって一番大事な、緊急性は低いけれども優先度が高い』タスクをこなすことはできませんでした。

フランクリンプランナーのベースの考え方である、「7つの習慣」は、フランクリンプランナー導入時に買って一読をしましたが、流し読みレベルで理解を深めないまま、5~6年くらい使っていたでしょうか。

7つの習慣」を読んでフランクリンプランナーから離れる

ある日、仕事もうまくいかず、ずっと気分もふさぎ込んでいた時、ふと助けを求めるがごとく、それまで流し読みで済ませてきた「7つの習慣」を手に取り、内容をきちんと理解しようと熟読しました*2。そこで、「時間管理のマトリックス」の考え方にはさらにベースになる考え方がある、ということに気づきました*3

それをもとにフランクリンプランナーの、目標設定シートの記入であったり日々のスケジューリングであったりを実行するようになると、段々と使い方を理解するようになってきます。ただ、その一方、「タスク」の数が圧倒的に多く、もっと言えば、なぜこんなことまで自分でやらなければいけないんだ、ということに気づくことになります。自分が望んでやっていること、ではあるのですが、なぜこれを自分でしなくてはならないかを理解できていないまま、やれ、と言われたか、自分からやると言ったか、なぜかタスクとして積まれているものが多数あったわけです。タスクをこなすのに1日あっても足りないし、後回しにしたところでそのタスクがいつになっても積み残されたまま終わらない、という事態が起こっていました。

ここで出会ったのが、「GTD(Getting Things Done)」の概念です。人によってはフランクリンプランナー(7つの習慣)とGTDは相性が悪いとか、相反する概念だ、とか言いますが、私の考えは「割と似たところがある概念」で、特に、タスクの俯瞰という点と、タスクを1つの塊としてとらえているところ、フランクリンプランナーで言うところのタスク=石と、GTDにおけるタスクの概念、最終的に分解できないレベルがタスクである(大きなタスクは細分化させて実行可能なタスクとして落とし込む)という点は似通っています。

GTDのもう一つの要点として、「Decluttering」、片付けるとか整理するとか、そういう意味ですが、タスクをとにかくすべて片付けてしまうという考え方、タスクが最初に入ってくる「Inbox」を毎日きれいに片付けてしまうことが挙げられますが、この処理を実行していくなかで、他者への移譲を行う(Defer)という作業が発生します。移譲する人がいなければしなくてもいいのですが、実際にはタスクの数が多すぎて誰かに頼まなければ終わらないという状況になっていました。そこで、フランクリンプランナー/7つの習慣で言うところの「役割」のうち、自分でなくてもできる役割については他者への移譲を進めよう、と考えるようになりました。

そうするとタスク自体は少し減りますし(移譲をすると必ず移譲した先の管理が必要になる)、管理自体も必ずしもフランクリンプランナーでなくてもよくなってきます。さらに、GTD的管理手法を実践するためにフランクリンプランナーのリフィルだけでは使えないというケースも出てきました。そこで、超整理手帳の仕組みを思い出したわけです。ただスケジュールが長く伸びているスケジュール帳、というわけではなく、A4用紙を1~2度折りたたんで持ち運びができるという「モジュール型」の仕組みは、GTD的管理手法とフランクリンプランナー的管理手法をハイブリッドで行うためには手っ取り早いツールでした。

そしてデジタルへ

そして今に至る、というところですが、実際には(戦術の通り)アナログ手帳を使っていたころからスケジュール管理に関してはGoogleカレンダーを併用していました。本格的に利用するようになったのは、スマホを持ち始めたころなので2000年代の後半とかでしょうか。PIMの再来だ、と思いながら。

ただ、スケジュールやタスクの管理については、今でこそ十分すぎる機能がGoogleカレンダーにあるのでそれだけでいいのですが、当時はまだ機能が満足できるものではなかったり、そもそも実装されていなかったりとかで、フランクリンプランナー的アプリやタスク管理アプリをGTD風に使えるようにカスタマイズしたりして使っていました。そして、いつの間にか手帳というモノを持ち歩かなくなったのですが...。

ある日のこと、会社の上司から「お前なんでメモ取らないの」と怒られました。顧客打ち合わせで開発の担当になっている私とともに上司が同席したわけですが、打ち合わせの内容=要件についてきちんと聞き取りをし、それをメモに残したのか?という意図で怒られたわけです。もっとも、当時はきちんと内容を記憶していましたし、それを顧客に議事録として送って認識のずれがあればそこで調整すればいい、と思っていましたが、さすがにメモをするものがないと格好がつかないので、最初は100均のノートを使っていたのですが、ノートの在庫がなくなったので買いに行った先で、GTDを実践していたころに使おうとしていた「インデックスカード」が目に入ってきました。そう。その当時は使いこなせていませんでしたが、HipsterPDAを使えばメモも取れるしタスクの整理も楽になるし、荷物も減る!

これが今にいたる基本となるスケジュールとタスク管理です。そこに、開発業務に関してはプロジェクト単位でタスクの管理を行えるように、GTD風カスタマイズを加えたTrelloを使ったり、業務委託のプロジェクトであればクライアント指定のツールを使ったり、果ては提案して構築したりなど。TimeTreeについては、ヨメとの共有カレンダーとして使っています。一時期はGoogleカレンダーでの共有をしていたのですが、ヨメにとってGoogleカレンダーは使いにくいらしく*4、私としてもヨメと共有すべき情報とそうでない情報を切り分けて、スケジュールベースとなっているGoogleカレンダーから適宜必要な情報をTimeTreeに転記する*5

タスクに関しては、抜け漏れがなければ複数の管理先で重複しても構わない、というのはGTD的な考え方のような気がします(本来は1か所での管理が望ましいのですが)。そのため、抜け漏れのないように、開発プロジェクトで使うタスク管理ツールについてタスクのMECE(抜け漏れ+重複)チェックは行っています。

最近起こった問題と対処方法

ほぼデジタルな環境でのスケジュールやタスク管理をしていましたが、最近(2020年)になって、ちょっとした壁にぶつかりました。複数の「プロジェクト」が並行していくつか進むようになりました。仕事だけではなく、「プライベートプロジェクト(いわゆる私個人、または家族などのイベント)」も同時に走っているため、スケジュールの俯瞰が必要になってきました。

Googleカレンダー自体は月単位のカレンダー表示が可能になりますし、プロジェクト単位でざっとスケジュールの枠を作っておけば見やすくはなるのですが、数が多くなると「その他〇件」みたいな表示になってしまい、どこかで見えにくくなってしまいます。カレンダーの一覧性が高い方法は...、と考えると、結局「超整理手帳」の出番、ということになりました。

2021年版を先日購入しました。久しぶりに見ますが、使い慣れたこのビュー。いいですね。

[syame]

超整理手帳と、月間カレンダーを使って、月間カレンダーには大きなプロジェクト(大きな石)を書いておき、それぞれのスケジュールをどう組んでいくかについてこれから検討をしていき、ざっくりとしたプロジェクトスケジュールは月間カレンダーと超整理手帳に書き込んで、細かいタスクについては引き続きGoogleカレンダー(もしくはTimeTree)やタスク管理ツールに書き込む、という感じでスケジュールの調整を進めていく感じです。

さてさて忙しい...。

*1:というよりは、「スケジュール」を書き込むことが目的になりがちになるので、結局まともな「スケジューリング」ができるわけではない、と言った方がいいのかもしれません。

*2:それ以来私の座右の書になりました。

*3:そもそも「7つの習慣」における要諦は『原理原則を主軸に考える』ことだと今の私自身は理解をしていて、例えば自分自身にとって大切なことだからと言って他人にとってはそれは大切でも何でもない、という事実、同じ会社に勤めていれば、私にとっても他人にとっても、会社の命はどちらにとっても優先度が高くなりがちだということ、だから会社に振り回されるのもおかしいし、かといって自分勝手になるのも会社に所属している限りはおかしい、会社から金をもらって仕事をしているのであれば、その会社のことが会社にいる限りは優先度が高いよね、というのは原理原則だし、会社勤めができているのも家族のおかげ、となれば会社にいないときは家族のことを考えるというのも原理原則。自分自身の『役割』という言葉で説明をしていましたが、複数の役割を持つ自分、という軸で考えているのが7つの習慣の要諦かな、と。

*4:デザインもかわいくないですしね。

*5:実運用としては逆で、ヨメとの共有が必要なものと判断がその場でできれば先にTimeTreeに情報を入力、あとでGoogleカレンダーに転記しています。Googleカレンダー→TimeTreeというケースもあって、スケジュールの見直しや俯瞰をしているタイミングで「あ、これは共有必要だな」と思った時に転記する、という運用です。例えば平日に銀行に支払いに出かける、というスケジュールタスクはヨメには関係ないので共有はしていません。

マーケオタクのボヤキ:YouTuber?

筋トレは趣味ですが、なぜこうなるのか、という記事を見つけたのでちょっとマーケオタクという立場と、趣味筋トレという立場でツッコミでも。

esse-online.jp

筋トレは確かに男性にとって「強さ」の象徴であり、ハマりだしたらとにかく何としてでもバルクアップしたい、と考えてしまうのは当然だと思います。私自身そうですから。ただ、私の話だけをすれば、私はどうやら『ハードゲイナー(Hardgainer)』のようで、筋トレをしても筋肉がそれほど大きくなってくれないらしく、年単位でトレーニングをしていても(後で述べるように週1~2がいろいろ「限度」なので回数も少ないですが)それほどデカい筋肉を持っているわけではないのですが。

私の話を続けてしまい恐縮ですが、もう一つの要素として年齢もあります。49歳にもなるとさすがに体力は衰え気味ではあります。若い頃に比べれば全然動きませんし、仕事柄同じ姿勢をキープし続けることが多いので、筋トレの意味もバルクアップから(もちろんまだバルクアップメニューも続けていますが)ストレッチ、モビリティ、フレキシビリティ、みたいな意味合いが強くなってきました。

「YouTuberになる」ことに対する大きな勘違い

あくまでもこの記事に出てくる人たち(筋トレにハマったダンナ)は極端な例なのだろうと思うのですが、仕事的に見ても「これはどうなんだ」と思うところは数多くあります。

「先行投資」と言う名の無駄遣い

家にダンベルセットとかラックとか置けるってどんだけいい家住んでるんだ、というツッコミを本当はしたいんですが*1、それよりも「ホームジム」を作ることのコストメリットの少なさ、無駄遣いでしかないということを今回はツッコんでみましょう。

仮に通販で買えるレベルのダンベル・バーベルセットを買ったとします。ダンベル2.5万、バーベル2.5万として5万円。仮によくあるスポーツジムに通っていたとして月10000円程度の会費を払っていたとすれば、ダンベルバーベルセットを自宅に購入設置すればジムに行かなくてもよくなる「はず」なので、ジム代は5~6か月もあれば回収は可能、と考えてしまうのですが、では6か月アホみたいに自宅で筋トレをして、仮に自分の求めている姿になれたとしますが、おそらくその体型をキープしよう、ということにはならないはずで、「もっと鍛えてもっとデカく/美しく」と考えるはずなのです。そして、そうするためには今家にあるセットでは足らないはずなのです。さらなる追加投資をしなければならないか、家に置くことができなければやっぱりジムに行くか、という選択を迫られます。もしジムに行くとなれば家にあるセットは不要なのですが、だいたい汗まみれ脂まみれで売り物にならず、引き取ってもらえたとしても二束三文、引き取り手がなければ物干し竿の代わりになってしまいます*2

結局投資に見合う効果は得られることもなく(しかもダンベルバーベルセットだけだとしたら背中のトレーニングが若干薄くなりますからバランスも多少悪い)、追加投資か不良資産のいずれか(またはゴツイ物干しざお)になるのが関の山、ということになります。

「Youtuber」になったダンナ

筋トレとか以前の問題で、Youtuberになりたい(Youtuberになってお金を稼ぎたい)という人はたくさんいるわけで、ちょっと鍛えてみたらいい感じだからYoutubeで筋肉見せながら語っちゃおう、なんて甘い考えだと誰もが(奥さんたちはおそらく全員)思うでしょうが、筋トレをやっている人たちの中で一定量いるナルシスト系の人たちはちょっとでも筋肉ができるとすぐに他人に見せたくなり、それが金になるかも、と思ってしまうわけです。

そして、Youtuberのビジネスモデルを理解しておらず、単に動画再生時の広告だけが収入源になる、と勘違いしていると、無駄にプロテインだのサプリだのを買い込んで、「はい、というわけでね~、やってみました~」的な動画を毎度毎度作ってしまうわけです。あれは必ずスポンサーがついてますからね。よく「ステマ」とか言われるヤツですが(実際にはステルスマーケティングでもなんでもなく、有名なインフルエンサーだから商品の無償提供をしたりスポンサーになっている、という、ただの「マーケティング」なんですが)、そうでもしなければ(著名な)Youtuberだっていろんなものを買って試してという生活を続けてお金がもつわけがないです。これも先行投資ですって?まだダンベルセットの方がもとが取れる気がしますが...。

「タンパク質不足」と炭水化物不足の脳が言うダンナ

たぶんそういうことなのでしょう(笑)。炭水化物が脳に行き届いていないので*3、アタマが回ってないんですね。よく揶揄される「脳まで筋肉になった」状態です。私もその傾向があるので皆さんにも許していただきたいところですが。

筋トレをするためには「筋肉を大きくするためのたんぱく質」が必要なのではなく、そもそも運動をするのでそのためのエネルギーが必要になります。だから、たんぱく質だけでなくカロリー、簡単に言うと「メシ」を食わないとトレーニングがおぼつかなくなるわけです。もちろん「バランスが大切」となるのですが、意外とPFC(Protain/Fat/Carb)バランスという点では今どきの食卓ではタンパク質の量が少ないことが多いのは事実です。特に動物性たんぱく質の場合はコストが高く、脂肪もそこそこ多いためにただ食べると太ってしまうため*4、食卓にのぼることが少ない傾向にあります。

ちなみにPFCバランスという言葉を使ったので、では最適なPFCバランスは?となるのですが、ネットで調べるとたぶん炭水化物60%、タンパク質15%、脂質25%とかいう厚労省のデータが出てくるはずですが、これも人それぞれかな、と思いますし(個人的には脂質が1/4というのはちょっと多すぎかな、と思います。6:2:2くらいか60:15:25くらい、タンパク質が1/4で脂質が少なめくらいが脂っこくなくてちょうどいいかな)、むしろ正しい考え方は、基礎代謝量に対して炭水化物の比率をそのままにしてたんぱく質をどうやって多く摂取するか、ということであって、何でもかんでも「タンパク質がぁ~」と言うのはおそらく炭水化物が(ry。

「消費してほしい」という人たちに騙されてはいけない

マーケティングをやっている人がこれを言うのは元も子もない気はしますが、いち消費者として考えると、例えば筋トレをするのにあれもこれも(食べ|飲ま|買わ)なければいけない、という理屈が正しくないんじゃないのかな、とは思うわけで、「効果をより早く実感するために」何かを足す、ということと足すことで「効果が得られる」ということをはき違えている人が多い気はします*5。筋トレはただ重いものを持ち上げたりすることが基本ですし、そのために特定のプロテインサプリメントと水分補給ドリンクがなければいけないわけではないはずです。

そんなことよりも、無駄な動きをせずに鍛えたい筋肉により負荷をかけることの方が大切なわけで*6。私の話を何度もして申し訳ないですが、今でこそ自分自身がハードゲイナーであることを自覚しているので、ほどほどにトレーニングをし、食事も多少バランスを考え、サプリはよほど必要がない限り摂ることを検討せず、(精神的にも肉体的にも)健康的な生活を送るような努力をしていますが、ずいぶん前に迷走していた頃はサプリも摂っていました。でも必要がなくなったので摂らなくなった、という感じです。不足しているなら摂るべきですがさらに多く摂りたい、というなら要らない、というのが私の考えです。食事にしても同じで、考えるべきは基礎代謝量とPFCのバランスであって、相対的にタンパク質を増やさなければいけないわけでもありません*7

「ちょい足し」というキーワード・概念は私もコピーづくりでよく使ってしまうネタなんですが、マーケター(コピーライター)の思いとしては、「ちょっとでもいいからまず使ってもらって商品の良さを知ってほしい」という気持ちを込めて使います。消費者にとっては商品をちょっとだけ使えばいいのだからお得だし、それによってなにがしかの効果が得られるわけですから、お互いにとって悪いことはなにもない、はずなんです。

しかし、実際に効果が得られるかどうかについては実は消費者次第、というところも多いわけです。プロテインを購入しただけでは当然筋肉量は増えませんし、運動もせずにただプロテインだけを摂取したところで筋肉に変わってくれるわけではありません*8。しかし、商品を売るときには、「飲めばバルクアップ」だの「プロテインちょい足しレシピ」だのと、とにかく消費をしてもらい、習慣づけるためのメッセージを流し続けるわけです。

今回は「マーケオタク」という肩書なのであえて言いますが、消費者の皆さんは意外とそういうあからさまなメッセージに騙されてしまっているわけです。悪いわけではないけれど、それが度を過ぎて、しかもその言い訳が「自分の利益につながるかもしれないから」なんて話は、どこかのネズミ講に騙されている人みたいですよね。そうなるとちょっと「目を覚ましてくれよ」と声をかけるべきだと思うのですが、そうでなくても、本当にその商品は必要なのか、本当に「ちょい足し」が自分の問題解決につながるのか*9、と常日頃考えることも大事なんじゃないかな、と思うんです。

*1:ダンベルセット」と一口に言いますが仮に1~20kgのセットとしてもダンベルだけで、1/220(20-1)2=380kg、ダンベルラックも入れたらおそらく400kg。可変式ダンベルでも40~50kgくらいはあるはず。記事内には「ベンチプレス」とありましたが通販で買えるところだと80kgセットにベンチ1個10kgとか。軽くても100kg超。ジムにあるフルセットだとこれまた300~400kgぐらいにはなりそう。置き場所も2~3畳分はどうしても取ってしまうのでどう考えても都内の普通の家では考えにくい、となるとたぶんそこそこいい家/部屋に住んでるんじゃないかなぁ、と推測をしています。

*2:もしくは買った直後にすぐにダンナが筋トレを継続して行わないことをいいことに部屋干し用のラックと化すことでさび付いてしまう、というパターンもあるんですが。

*3:炭水化物、特にグリコーゲンは脳にとっての唯一の栄養素です。低炭水化物ダイエットやプロテインの過剰摂取をする人たちはたいていグリコーゲンが「敵」です

*4:たんぱく質は太らない、というのは運動をして摂取したたんぱく質アミノ酸が筋肉に吸収され切っている状態であれば正しいです。過剰摂取しても排出されるので問題ない、という説もあるようですが、タンパク質中心のアンバランスな生活をしていると、タンパク質が脂肪として蓄積される可能性は(栄養学的に考えれば)あるわけで、「タンパク質は太らない」というのはウソ、というか言いすぎ、曲解しすぎ、ということだったりします。

*5:もちろんマーケティング的にはそう錯覚をさせることで商品を売ろうとしていますが。

*6:何やら不可思議な動きをしてかなり重い負荷を挙げ、3~4回やったら5分くらい休んで、というジムにいる迷惑な人も多いです。長っ尻過ぎてイライラしますがいったい彼らは何時間ジムにいるんでしょうね。

*7:そうは言っても、我が家は母が普段の料理番なのですが、よく炭水化物オンリーの食事を出してきます。クリームシチュー(鶏肉2切れ・ジャガイモ多め)とかぼちゃとサツマイモの炊いたん、海藻サラダとみそ汁(野菜)、という組み合わせとか。だいたいPFCで言うと5:20:75くらいになるわけですが、これはさすがにバランス考えてほしいと思います。作った本人は「野菜中心の食事だから健康的だ」と譲らないですが。サンドウィッチマンかよ。

*8:摂取したプロテインの余剰分はそのまま排泄される、というまことしやかな噂を耳にしましたがそんなことはなく、体内で分解され、脂肪として蓄積されていきます。その証拠となるのはたんぱく質分解時に発生する窒素の化合物であるアンモニア/尿素。脂質や炭水化物には窒素が含まれないので分解しても窒素化合物は生成されないんです。

*9:減らすことが問題解決につながるケースも多いですよ、実際のところ。

小ネタ:Redmine導入顛末

個人的な話をして恐縮ですが、仕事をしていて大変イラっとするのは、Excelを使った「課題管理表」を使います、と宣言してくるクライアントさまです。Excel以外にいいのがあるけれど暫定的にExcelで、という話にできるのであれば問題はないのですが、とにかく「Excelの課題管理表」に固執される方がごくごくまれにおられます。それで運用がきちんとできるのであれば別に問題もないのですが、ほぼ運用はグダグダになり、無駄な資料ができあがる、というのがオチです。

ITS/BTS導入前夜

私も昔は「課題管理」の方法を模索していました。Excelベースでどうしても運用せざるを得ない状況では、管理表をマスターデータとして、

  • できるだけ書き込む量を減らすこと
  • できるだけ「起票→対応中→終了」の一方通行運用にすること

の2点を守るようにして、「課題」やり取りにメールを使ったり、「課題」のサブタスク管理は内部で別のツールを使ったりなど、マスターである管理表がごちゃごちゃしないように心がけていましたが、そういう運用にしようと提案したところでそれを守らない人はプロジェクトに関わる人員が増えれば当然出てくるわけです。

決定的にExcelの課題管理表のことを嫌いになったのは、ある案件を受けていた時に先方の担当者が『突然バックレた』後に起こった事件です。そもそもはその担当者からExcel課題管理表を使うという指示をもらっていたのですが、

  • 課題管理表の指示とメールの指示、打ち合わせの指示がそれぞれあった *「課題」が管理表に一元化されていなかった
  • 「課題」の終了が明確に定義されておらず、何度となく終了したはずの課題が復活していた *終了した、または対応中の課題に対して質問や追加課題が付与され、いつまでたっても課題が終了しなかった

という運用上の問題を抱えた状態で、さらにそのような状態で納期が数か月程度遅れていたタイミングでその担当者が突然退職することになり、先方の内部で引継ぎを行った新担当者から、「課題が完了していないものが多いがどうなっているのか」という指摘を受け、完了していないのはこちらの問題ではないことを説明したにもかかわらず、ステータスとしては「開発側対応中」とされてしまっていたためこちら側の責任を問われた、という痛ましい事件が発生したことがありました。

極端すぎる例だとは私も思うのですが、実際に我が身に降りかかったことなので、Excel課題管理表に関してはちょっとアレルギーが出そうです。ただ、開発最初の段階で「課題の一元管理をしたい」というご提案をいただくこと自体は問題はなく、むしろ、管理を行いたいという観点と、管理のダウンタイムを減らすという観点で、開発開始当初にExcelを使うということについては肯定的で、「であれば、こちらで管理用のツールを用意するので、暫定的にExcelで管理してツールが用意でき次第切り替える、というのでどうでしょうかね?」という提案をこちらで行うようにはしています。

ITS/BTSは何を使うか(技術選定)

さて、ITS*1/BTS*2は何を使えばいいのか、ということなのですが、正直なんでもいい、というのが私の考えです。どれを使っても同じ、ということでは決してないですが、ITS/BTSを使うのはあくまでも管理の「手段」であって使うことは『目的』ではないため*3、最終的に管理をすることができるなら何でもいいかな、というのが根底にあります。

使ったことがあるもので言えば、例えばBacklog。

backlog.com

国産というところがメリット、というよりは、国産であるが故の日本人好みの使い勝手とでも言いましょうか、システム内の言葉が変でないので見たまま使えるという点ではとても使いやすいと思います。

AtlassianのJIRAも有名どころでしょうか。

www.atlassian.com

クラウド版の高機能ぶりには目を見張ります。さらに、他のクラウド系ITS/BTSに比べて費用面で安い、というか、フリープランの利用制限が緩いです。10ユーザまでであれば無料で使い放題です(全機能が使えるわけではなく、基本機能が使い放題)。個人で使う分にはこれが一番かな、と思います。

で、今回とある開発案件を受けて課題管理用に採用しようとしたのはRedmineです。

https://redmine.jp/:embed:cite)

ユーザ数が見えないというのが一つの理由、もう一つはカスタマイズの容易さです。デメリットとして今回はオンプレ版(と言っても公開Webサーバに入れますのでプライベートクラウド運用なんですが)を採用しているので、初期設定が面倒であること、そして画面のデザインが圧倒的にダサいことの2点が挙げられますが、とりあえずカスタマイズでなんとか乗り切ろうと思っています。

インストールと初期設定

今回はAWSへのインストールを行います。インスタンスタイプは無料枠のt2.microで、OSも使い慣れたUbuntu(18.04)です*4。DBは、当初RDSにアタッチさせようと思っていたのですが、プロジェクトの期限が決まっていていずれサイト自体がクローズすることが分かっているので、インスタンス内にPostgreSQLを入れてしまいました。

redmine.jp

インストールの手順ですが、上記サイトからはRedmine3.4+Ubuntu16.04の組み合わせのみにリンクが張ってありますが、そのリンクの先に、新しいバージョンのインストール方法へのリンクがあります。ちょっとわかりにくい。

ちなみに、今回はRedmine4.1+Ubuntu18.04の組み合わせでインストールをしました。いろいろと(具体的に言えばPGSQLとRubyの)バージョン指定があってちょっと面倒だな、と思いましたが、とりあえずインストールを行って、公開サーバ設定を行って、まずは公開することができました。

また、初期設定については、これもRedmine公式ですが、この辺を参考にセットアップをしています。

redmine.jp

さらに、QiitaあたりでRedmineの記事を探すと使いやすそうなプラグインなどが多数紹介されています。

qiita.com

qiita.com

特に後者のリンクは、今回の開発でコミュニケーションツールとしてChatworkを使用することが決まっているのですが、そのChatworkプラグインの作者の方の「使いやすいセットアップ」ということで紹介されている記事です。

導入方法についてはそれぞれのリンクからたどっていただくのがよろしいかと思いますが、必要最低限の機能だけをプラグインで補完しつつ使っていくという方針で導入を進めています。

今後必要なものはなにか

一言で言えばこのあと行う設定は「運用ルール」です。ルールを考えて、そのルール通りに動作するように設定をしていきます。例えばチケットの「出戻りを防ぐ」ことを担保するために、チケットのステータスを一方通行にするとか、チケット種別によってステータスの表示/非表示を考えるとか、これは今のExcel管理表も参考にして作っていくことになるのですが、そもそも開発の仕事もしているのでその合間に設定を作っていく必要があります。

おやおや、ずいぶん忙しくなりそうだ...。

*1:「Issue Tracking System」課題追跡システム

*2:「Bug Tracking System」バグ追跡システム

*3:Excel運用の場合はどうしても手に取りやすい/閲覧しやすいデータフォーマットであることもあって、手段と目的を取り違える傾向にあるのかな、とは以前の事件を振り返るとそんな風に思ってしまいます。

*4:20.04にしようと思ったんですが、インスタンス起動の時点でエラーになるんですよね。アレ、たぶんバグかなんかな気がするんだけど...。

パイプライン

こんな記事を読みましたよ、というご紹介と、タイトルの意味するところについて思うところがありましたので考察を。

記事概要

b2blauncher.com

私自身は半分趣味でブログを書いているので*1、この記事の作者さんの本業(ライター)とはあまり関係ないのですが、どうやって稼ぐか、というセルフマーケティングの観点では参考になる記事も多く、すべてではないもののかなりの記事を読ませていただいています。

で、今回の記事、相変わらず私の拙い抄訳+解説で恐縮ですが、「どうやって『将来性のある』顧客を探すか」という記事タイトルで、内容自体は「新規顧客を掘り起こすための方法」について、産業系ライターという仕事を例にしたやり方を紹介しています。

既存顧客リストの作成(棚卸)

既存顧客のリストを作ります。

  • 現在取引のある顧客だけでなく、過去に取引があった顧客もリストに含めます
    • 過去に取引があり、現在は別の競合他社と取引をしているのであればその情報を記載します(わかる範囲で)*2
  • 過去取引には至らなかったものの問い合わせ等の引き合いを行ったことのある会社もリストに含めます
  • 問い合わせを行おうと思っていてなかなか行動に移せていない会社もリストに含めます
  • 友人知人などの自分自身が持つネットワーク内にいる顧客候補もリストに含めます*3

そして、それぞれの顧客リストに下記項目を加えます*4

  • 会社等に対する専門家のレビュー(クラウドソーシングなら全体評価など)
  • 企業ランク(複数のランキングがみられるならそれもよい)

業界の情報を読み深める

リストを作成すると(産業ライターさんの場合はそうしなくてもおのずと)自分の専門としている分野が見えてくるので、その業界情報を手に入れます。書籍でなくともオンライン版の記事を読めばいいです。必要があれば記事の購読も検討しましょう。

また、専門分野とする業界のニュース記事や広告もチェックします。自動車業界であれば、新車の情報であったり世界のEVに関するニュースなどでしょうか。広告もライティングのアイデアとして使える情報です。

先に作成した「顧客リスト」の中から、今集めた業界情報を見ていて「ここに声をかければいい提案ができるかも」と思った企業に対してアクションを起こします。

LinkedInでの営業のかけ方

日本だとLinkedInはそれほど営業ツールとして活用されていない気もします。もしベンチャー企業がターゲットとして多いようであれば、Wantedlyと読み替えてみてはいかがでしょうか。

LinkedInには検索した業界情報を定期的にメールで送ってきます。私のところにも毎週くらいのペースで「求人」という形で配信されているので、時間があればチェックしています*5。送られてきた企業の情報は、いうなれば『相思相愛』なわけです。自分もその企業の仕事をしたいし、企業側も自分のような仕事をしてくれる人を求めている、と。

このままLinkedInを使ってコンタクトをするのではなく、いったんGoogleなどの検索エンジンで企業の情報を検索して「本当に」この企業で働くことが問題ないかを最終チェックして、問題がなさそうであればLinkedInでの企業担当者へのアプローチを始めます。

この時に注意しなければいけないのは2点。

  • 担当者へのアプローチは複数名(2名程度でOK) *1名のみでは企業へのリーチができない可能性があるから
  • 「肩書」に注意 *具体的な「肩書」については書きませんが、できるだけ決定権者に近い肩書を持つ人を選びます

実際の肩書を記載しても、必ずしもその人が権限を持っているのかどうかはわからないのですが、一般的に(私もそう思う)こんな肩書の人には権限はあまりない、と考えてもらって大丈夫です。

  • 〇〇スペシャリスト(専門職なので決定権者からは程遠いことが多いです)*6
  • オペレーター、アナリスト(基本的に現場仕事をしている人たちの肩書です)
  • 役名のないマーケティング担当(デジタルマーケティング担当とか、マーケティングAI担当とか。これも現場担当の方が多いです)
  • 「ディレクター」系(現場担当というか、現場統括レベルの役職の方が多いです) *『マーケティングアナライズディレクター』という肩書が例に出ていましたが、要はマーケ分析部門の統括主任くらいな感じでしょうか。リーダーとかそんな感じ。
    • 実際の例では『マネージャー』という肩書はOKとされています。課長~部長職クラスでこの肩書がつけられることが多いです。あまり肩書が長すぎず、かといって短すぎず、というところが私的なねらい目ですが。

選んだ方たちに営業メールを送れば、何らかの反応が返ってくるはずです。

結局は泥臭いアウトバウンド営業でした

今回ご紹介した新規営業掘り起こし方法は、LinkedIn(などのSNS)を使う、というところがちょっと目新しいかな、と思いますが、実際の営業の現場を見ると『よくある(アウトバウンドの)営業スタイル』だなぁ、と感じます。

要点は2つあって、

  1. 自分の得意分野の棚卸+スキルアップ
  2. (業務発注)決定権者へのコンタクト

あくまでもフリーランサーのやり方、というところですが、これを一般的な企業の営業に置き換えると、

  1. 自社商材の理解と「強み」の理解
  2. どうやって「決定権者」と話を進めるか

という、二つのテクニックが必要ですよ、ということになります。

特にフリーランサーの場合は、自分自身の商材がなんであるかは『一応』理解をしているはずですし、専門分野の有り無しは受注確率に影響を及ぼします。業界未経験の未経験ライターさんが受注できないのは、業界未経験だから、というのが主な理由です。仮にライティングが未経験でも該当の業界で長く働いていた、という場合は業界について詳しいので、ライティングのルールさえ教えればいいのですが、ライティング経験があっても業界のことに疎ければ記事が薄っぺらいものになってしまいます*7

そしてもう1つの、「決定権者」とのコンタクト。これが結構難しいんです。私自身これで苦しんだことが何度もあります。一つ極端な例を挙げると、もともと私(と当時所属していた会社の役員)の知人からの引き合いでシステム開発の提案をすることになったのですが、先方企業の窓口はその知人。半年ほど前にその企業に入って社内システムの刷新を担当することになり、開発を依頼してきた、という話なのですが、いくら提案をまとめても話が進まない。提案書や費用面でのブラッシュアップは何度も行ったのですが、いつになっても契約を「する|しない」の結論が出ない。知人ですので「ちょっと外に連れ出して」ぶっちゃけた話を聞いてみると、ほかにもシステム刷新の提案をさせている企業が数多くあり、その中から私がいた会社を選んでもらえるように、という「配慮」から彼自身が提案を取りまとめていて、まだ上長への提案をしていない、ということが判明*8。結局話を進めている間に私はその会社を退職したのでその後どうなったかは不明ですが...。

提案自体がイケてるものであったとは私自身も思っていないのですが*9、私自身営業のやり方として、もっとガツガツと攻めることができたらなぁ、と大変後悔している、そして営業のやり方について反面教師として覚えている悪い例の一つです。

ちなみに今の私自身はあまりアウトバウンド営業をしないのですが*10、新規顧客の掘り起こしは必要ですし、定期的にやっているにはいますが、年1~2回程度。1年に1件新規顧客が獲れたらOK、というレベルです*11

本題:仕事の「パイプライン」

さて。ここまでの話で一切出てこなかった「パイプライン」という言葉ですが、今回の元記事の一番最初の行に出てきます。

I’ve talked many times about the importance of prospecting for new clients to keep your pipeline full.

(記事筆者が)いつも言っているように、仕事をしている自分自身の『パイプラインからの供給を常にいっぱいにする』ために新規見込み顧客を探すことは大切なことなんです。

私の中で、仕事/案件の「供給源」としての『パイプライン』という考え方はまさに目から鱗でした。ちなみにここで言うパイプラインはこの意味ですよ。

ja.wikipedia.org

パイプライン、例えば油田なんかを想像していただければいいのですが、ある油田からいくつかのポイントを通過したり分岐したりしながら、複数の拠点に原油を供給している*12んですが、私たちフリーランスはこの終点部にいると考えるわけです。起点である油田は?当然クライアント様です。

2020年初頭のコロナ禍第一波*13で話題になった、フリーランサーの「雇止め」問題。私自身はあの問題はわりと冷静に見ていて、「仕事の供給源が1か所しかなければ、そこが『切れた』時に大打撃を受けるにきまってるよなぁ」と思っていました。実際の事例で言えば、「フリーランスとして*14」ピアノ教室の講師を受注していた方が、運営会社である契約先からのレッスン中止指示を受け、仕事が「なくなった」というもの。ピアノ講師という特殊性のある仕事なのでこの方がどう、ということではないですが、他にできる仕事があって、そちらで「糊口をしのぐ」ことはできなかったんだろうか、と感じましたし、自分自身はそう言ったセーフティーネットを構築すべきだろうな、と考えました。事実、順番は前後しますがコロナ禍以前にIT業界の経験を活かしてIT講師の単発仕事を受注しており、これ自体は自分にとってのセーフティーネットになりうるな、とは受注当初から当初から考えていました。

何らかの理由でパイプラインからの供給が止まる可能性は否定できません。むしろ今般のコロナ禍でフリーランサーにとっては「現状のままではヤバイ」と気づくきっかけになったのではないかと思うんです。少なくとも私はそう感じました。だとすれば、その「パイプライン」を複数持つこと、そしてパイプライン終点として、常にタンクが満タンになっていて輸送に忙しいという状況を作ることが必要だし、そうありたいなぁ、と感じます。

*1:残り半分は、といえば、このブログは一応集客用という位置づけにはなっています。機能してないですが(笑)。

*2:例えば、「別のフリーランスと〇〇経由で契約?」くらいでいいと思います。要は仕事の有無やクライアントの仕事の発注に関する特性がわかればいいので。

*3:友人知人を巻き込みたくない、という気持ちはわからないでもないですが、まぁ元記事は海外のものですし、そのあたりドライですよね...。

*4:顧客の評価です。

*5:ただ、正直「求人」という扱いなので、フル在宅の案件はあまり出てこないですね。

*6:私自身は最近「ITスペシャリスト」という肩書を使っていますが(笑)。

*7:それこそSEOを意識したライティングだけが得意だったりすると、記事のアクセス数は上がるかもしれませんが、その記事に価値がなければ離脱率も高くなり、サイト全体の評価も低くなってしまいます。とは言えそういうブログを運営している方たちは数多くいるんですが...。

*8:ちなみに彼の当時の肩書は「IT部門統括」だったような。そしてその会社のIT部門に所属していた人員は彼一人。

*9:もちろん提案自体はきちんとしましたし、対知人というしがらみの中でコストとパフォーマンスの両立に苦労し、どうしても十分な提案になっていなかったかもしれない、とは思うので、そういう点で「イケてない」んですが。

*10:その理由は「手間がかかるから」の一言に尽きます。本業や既存顧客との関係醸成もそれなりに忙しく、後で触れる部分にも関わりますが、既存顧客からの案件受注が少し切れそうだな、と見越したタイミングで新規営業をするようにしています。

*11:もちろん引き合い(インバウンド)もあるので、必ずしも年1件新規顧客が増えるというわけでもないです。

*12:実際には港湾などが終点になっていて、そこで精油され、または精油基地にさらに運搬される、という仕組みですわね。

*13:第二波があったのかどうかは別にして、とりあえず一番最初のコロナ禍です。

*14:フリーランスというよりは個人事業主として、だと思うんですが...。